Press Release

標題:
超大型コンテナ船に用いられる板厚100mmの極厚アレスト鋼板に対する必要最小アレストじん性について世界初の知見

2016年7月27日

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は一般社団法人日本溶接協会と実施した共同研究での実証試験結果に基づき、超大型コンテナ船に用いられる板厚100mmの極厚アレスト鋼板に対する必要最小アレストじん性が、8,000 N/mm3/2であるとの世界初の知見を得ました。

国際船級協会連合(IACS)は2013年1月、大型コンテナ船の構造信頼性向上を目的として、ぜい性亀裂(高速で伝播する不安定亀裂)が万一発生した場合に、これを停止させるためのアレスト設計に係るIACS統一規則を制定しました。

当該規則では、アレスト設計に関し、板厚80mm以下のアレスト鋼板に要求される性能として、規則で想定する一般商船の最低設計温度である-10°Cでの必要最小アレストじん性(ぜい性亀裂を停止させるために必要な材料性能:Kca値)が6,000 N/mm3/2と規定されています。一方、超大型コンテナ船に用いられる板厚80mm超えの極厚アレスト鋼板の必要最小アレストじん性については具体的な規定が無く、各船級協会の判断によることとなっています。

本会は、板厚80mm超えの極厚鋼板に対する必要アレストじん性を明確にするべく、日本溶接協会との共同研究体制(委員長:東京大学 粟飯原周二教授 / 委員:学識経験者、国内の関連鉄鋼会社、造船会社、中立研究機関)により、関連する調査研究を実施しました。

共同研究において、超大型コンテナ船のハッチサイドコーミングと強力甲板の構造を模擬した大型試験体による実証試験を行い、これまで明確化されていなかった板厚100mmの極厚アレスト鋼板に対する必要最小アレストじん性(Kca値)が、-10°Cにおいて8,000N/mm3/2であるとの世界初の知見を得ました。

本会は実証試験に基づく上述の成果を受け、一層の大型化が進むコンテナ船の設計・建造への本会の対応として、板厚80mm超え100mm以下の極厚アレスト鋼板の-10°Cにおける必要最小アレストじん性(Kca値)を最も厳しい条件の場合、原則8,000 N/mm3/2として運用することと致します。また、業界における極厚鋼板のより円滑な活用のため、本知見をIACS統一規則へ適切に反映することに努めてまいります。

以上

ClassNK - EOD

ポップアップウィンドウを閉じるボタン