Press Release

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ClassNKの“業界要望による共同研究” によって開発された「二相ステンレス鋼(Duplex鋼)とステンレスクラッド鋼の組み合わせ」を採用した世界初のケミカルタンカーが進水

2014年8月1日

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)(会長:上田 德)の“業界要望による共同研究”のスキームにより研究支援を受けた「二相ステンレス鋼(Duplex鋼、KSUS329J3L)とステンレスクラッド鋼の組み合わせ」をカーゴタンク部に採用した世界初のケミカルタンカーが進水しました。

この度進水したのは、ヒロ ナビエラ S.A.(所在地:大分県佐伯市、代表取締役社長:吉村知紀)が発注し、株式会社臼杵造船所(所在地:大分県臼杵市、代表取締役社長:角田二朗)が建造中のSUNRISE HOPE(12,500MT型ケミカルタンカー)です。進水式は7月31日に挙行されました。本船は、二相ステンレス鋼カーゴタンクを14個備え、性能面でもエコシップデザインを採用、2014年10月に竣工を予定しており、日本マリン株式会社(所在地:東京都、代表取締役社長:井形信一)にて運航予定です。

二相ステンレス鋼はこれまで海外ではケミカルタンカーへの適用実績がありますが、国内では適用されておりません。本船は、カーゴタンク同士の隔壁に従来使用していたSUS316LN鋼に変えて二相ステンレス鋼を、バラストタンクとの隣接部分にはステンレスクラッド鋼を採用しています。SUS316LN鋼に比較して、高強度・耐腐食性に優れ、高価なニッケル含有量が5~6 % 程度と少なく経済性の高い二相ステンレス鋼と、バラストタンクの塗装品質を確保できるステンレスクラッド鋼を組み合わせたケミカルタンカーの建造は、世界でも実績のない、全く新しい取り組みです。

この技術の採用にあたっては、本会の“業界要望による共同研究”スキームの研究支援のもと実施した“二相ステンレス鋼のケミカルタンカー実船適用に向けた設計・施工に関する研究開発”(2014年5月まで実施。共同研究者: JFEスチール株式会社、新日鐵住金ステンレス株式会社、株式会社タセト、一般財団法人日本海事協会、研究協力者:Stolt-Nielsen Limited、指導者:長崎総合科学大学、矢島教授・谷野准教授、塾 船大工)において、実船への適用が可能であることが確認されています。

また、本船の建造は本会発行の「二相ステンレス鋼の溶接に関するガイドライン(2014年)」に基づき進められています。

本会は今後も、“業界要望による共同研究”スキームを通じ、新技術の実用化及び業界における普及拡大に取り組んでいきます。

以上

*1) 二相ステンレス鋼とは、オーステナイトとフェライトの二相組織を持つ、従来広く使用されているオーステナイト系ステンレス鋼より、高強度・高耐食性を持つステンレス鋼です。これまで国内造船所にて、SUS304と同等の耐食性を持つ、ニッケル含有率がより低いリーン二相ステンレス鋼をケミカルタンカーへ適用した例はありますが、今回の二相ステンレス鋼はSUS316と同等以上の耐食性を持っております。

*2) ステンレスクラッド鋼とは、ステンレスと軟鋼を圧着させて一枚の板とした鋼板で、ケミカルタンカーの貨物タンクとバラストタンクとの境界の隔壁に使用されています。

この件に関するお問い合せ先:
一般財団法人 日本海事協会
資源エネルギー部
Tel: 03-5226-2042
E-mail: ned@classnk.or.jp

ClassNK - EOD

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