Press Release
標題:
ClassNK、水素及び炭酸ガスを製造・出荷する洋上浮体施設(H2/CO2-FPSO)へ設計基本承認(AIP)を発行
2014年10月27日
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)(会長:上田 德)は、三菱重工業株式会社及び千代田化工建設株式会社により共同開発された洋上浮体施設(H2/CO2-FPSO: Floating Production, Storage, & Offloading Unit)に対して、設計基本承認(AIP: Approval in Principal)を発行しました。
H2/CO2-FPSOは、海底油田上に設置された洋上プラントから発生する原油随伴ガスから水素と炭酸ガスを取り出し、有機ケミカルハイドライド法(注)により水素をメチルシクロヘキサン(MCH)として固定し、常温・常圧の液体状態で水素を貯蔵及び積出する新しい生産方式のFPSOです。
H2/CO2-FPSOに貯蔵された状態の水素は取扱いが容易であることからケミカルタンカーなどの既存輸送船にて海上輸送が可能です。目的地においては、千代田化工建設が開発した脱水素設備によりMCHから水素を取り出し、既存インフラを通じて供給されます。また、同時に生産された炭酸ガスは自然衰退した油田の増進回収法であるCO2-EOR(Enhanced Oil Recovery)へ利用されます。
H2/CO2-FPSOはFPSOとして移設・転用が可能な上、水素輸送にあたっての専用船が不要となり、炭酸ガスによる石油増産も見込まれるといった経済性に優れたコンセプトであり、水素サプライチェーン構築への貢献が期待されます。
世界初となる水素利用を目的としたケミカルFPSOの共同開発は、トップサイドプラントを千代田化工建設が、浮体を三菱重工業がそれぞれ受け持ち、本会の「業界要望による共同研究」スキームにより実施されました。また、本会は海上における構造物及びケミカルタンカーに関わる豊富な知見と経験を基に、リスクアセスメントを含めた技術支援を行うとともに、船級協会として安全性評価を実施いたしました。
極めてクリーンなエネルギーである水素の活用に向けたH2/CO2-FPSOの開発について、本会は今後も積極的に貢献してまいります。
以上
(注)トルエンなどの芳香族化合物の水素化反応により飽和環状化合物として、水素を固定し、常温・常圧の液体で貯蔵・輸送を行い、使用場所で脱水素反応を行って、水素を取り出す化学的な貯蔵・輸送方法。トルエンで固定された水素はメチルシクロヘキサン(MCH)という液体となる。他の水素貯蔵・輸送媒体に比べ、貯蔵密度が高く安定しており、既存インフラを利用して安全に貯蔵・輸送することが可能。千代田化工建設は、同社がSPERA水素と呼ぶMCHのシステムの実証試験に成功し、既に実用化段階にある技術。
この件に関するお問い合せ先:
一般財団法人 日本海事協会
資源エネルギー部
Tel: 03-5226-2042
Fax: 03-5226-2019
E-mail: ned@classnk.or.jp
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