Press Release

標題:
CCR研究会 船舶カーボンリサイクルWG」が9社で始動

~メタネーション技術による船舶のゼロ・エミッション燃料を目指す業界横断の取り組み~

2020年7月16日

「CCR研究会 船舶カーボンリサイクルWG」(WG=ワーキンググループ、以下「本WG」)は、株式会社エックス都市研究所、サノヤス造船株式会社、JFEスチール株式会社、ジャパン マリンユナイテッド株式会社、株式会社商船三井、日揮グローバル株式会社、一般財団法人日本海事協会、日本製鉄株式会社、日立造船株式会社の計9社(註1)が参加し、第一回会合を開催しました。

気候変動の影響が国内外で顕在化する中、脱炭素社会への道筋の一つとして、排出された二酸化炭素(CO2)を回収・再利用するカーボンリサイクルが注目を集めています。

本WGは、メタネーション技術(註2)を船舶のゼロ・エミッション燃料(註3)に活用する構想の実現可能性を探ることを目的として、2019年8月に、CCR研究会(註4)に設置されました。本WGの活動を通じ、日本による輸出入の99.6%を担う海上輸送の過程での温室効果ガス排出(=エミッション)をゼロにして、持続可能な社会の形成に寄与することを目指しています。具体的には、メタネーション燃料の原料調達・原料輸送・メタネーション・舶用燃料化によるカーボンリサイクルのサプライチェーンを想定し、本サプライチェーンにおけるCO2排出量の概算を行い、この結果から、実現に向けた技術的課題の洗い出しとロードマップ策定を、上記9社で行います。

活動の最初の段階では、①国内の製鉄所から排出されるCO2を分離・回収・液化、②液化したCO2を船舶で水素の供給地へ海上輸送、③メタネーション反応によりCO2と水素から合成メタンを生成、④合成メタンを液化し、舶用燃料とすることを想定しています(図1)。この想定のサプライチェーン上でのCO2排出量の概算値を求めるとともに、技術的課題を洗い出し、活動を次の段階に進めるかどうかとその活動内容を策定します。また、得られた知見は業界内外に広く公開します。

(図1)

図1


(註1) 「CCR研究会 船舶カーボンリサイクルWG」参加社(50音順)
株式会社エックス都市研究所代表取締役:
内藤 弘
本社:東京都豊島区
サノヤス造船株式会社代表取締役社長:
上田 孝
本社:大阪府大阪市
JFEスチール株式会社代表取締役社長:
北野 嘉久
本社:東京都千代田区
ジャパン マリンユナイテッド
株式会社
代表取締役社長:
千葉 光太郎
本社:神奈川県横浜市
株式会社商船三井
(本WG幹事会社)
代表取締役社長:
池田 潤一郎
本社:東京都港区
日揮グローバル株式会社代表取締役社長執行役員:
山﨑 裕
本社:神奈川県横浜市
一般財団法人日本海事協会
(本WG事務局)
代表理事会長:
坂下 広朗
本部:東京都千代田区
日本製鉄株式会社代表取締役社長:
橋本 英二
本社:東京都千代田区
日立造船株式会社代表取締役取締役社長兼COO:
三野 禎男
本社:大阪府大阪市

(註2) メタネーションとは、触媒を充填した反応容器内で水素とCO2を反応させ、天然ガスの主成分であるメタンを合成する技術である。産業施設などから排出され、分離・回収したCO2を利用する。合成されたメタンを燃焼させる際に発生するCO2は、分離・回収したCO2と相殺されると考えられるため、将来的に再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解することによって生成した水素を利用すれば、CO2の排出を大幅に削減したとみなすことができる。

(註3) 国際海運におけるGHG排出対策を検討している国際海事機関(IMO)では2018年4月にGHG削減戦略を採択し、2030年までにCO2の排出量を効率ベースで2008年比40%削減、2050年までにGHG排出の総量を2008年比で半減、および今世紀中のなるべく早期に国際海運からのGHG排出をゼロとするという目標が設定された。メタネーション燃料はゼロ・エミッションを実現する技術となりえるとして注目されている。

(註4) CCR(Carbon Capture & Reuse)研究会は産業界から排出されるCO2を再生可能エネルギー由来水素と組み合わせ、合成メタン等の代替エネルギーを提供することで、化石燃料の使用量削減に実効的なカーボンニュートラルの対策を提案するとともに、2050年に向けた新たなエネルギー供給システム構築に寄与することを目指し、設立された。
https://ccr-tech.org/

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