Press Release
標題:
「液化CO2輸送船(圧入船Ready)」の概念設計に対し、基本承認(AiP)を発行
~環境省「環境配慮型CCS実証事業」の一環として、上野トランステックの業務委託により新来島サノヤス造船が開発~
2021年3月22日
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、「液化CO2輸送船(圧入船Ready)」(*1)の概念設計に対する基本承認(AiP)を発行しました。この概念設計は、環境省の「環境配慮型CCS実証事業」の一環として、同実証事業コンソーシアムメンバーである上野トランステック株式会社の業務委託を受けた株式会社新来島サノヤス造船の研究開発によるものです。
環境配慮型CCS実証事業では、火力発電所などからの排ガス中のCO2を分離・回収し、地下へ貯留するCCS(Carbon dioxide Capture and Storage)の社会実装に向けた各種分析・検討が行われています。分離・回収されたCO2を海域貯留サイトまで海上輸送し、海上で海底下の貯留層へ圧入するシステムの実証に向け、同実証事業コンソーシアムメンバーである上野トランステックよりの業務委託を受けた新来島サノヤス造船が、船舶輸送技術の研究開発として、「液化CO2輸送船(圧入船Ready)」の概念設計を実施しました。この船型はCO2の輸送作業に加え、圧入作業にも転用可能な船型として開発されています。
本会は、新来島サノヤス造船の申込により、本概念設計の安全性に関わる審査を実施しました。IGCコードを取り入れた本会鋼船規則「N編」などに基づき、CO2輸送船としての船体・配置・船装設計及びCO2圧入設備を搭載した場合の船体計画に対する安全性評価を行い、AiPの発行に至りました。カーボンゼロへの重要な要素であるCCSの実用化に向け、本会は第三者認証機関として、CO2輸送や圧入に関わる適切な技術検証の提供に取り組んでまいります。
新来島サノヤス造船発表の本設計の主な特長は以下の通りです。
「本船型は、CO2の輸送作業に加え、圧入作業にも転用可能な船型として開発をしており、CO2カーゴタンク前方には、圧入サイトへの嵌合設備を含めた圧入システム専用のスペースを確保しております。
また、主推進方式に2軸アジマス推進方式(*2)を採用し、船尾船型は船体抵抗が低減できるバトックフロー船型(*3)としています。これにより、洋上でのCO2圧入作業に要求される定点保持性能を満足するとともに、外洋航海にも適した推進性能を確保しております。」
CO2輸送船(圧入船Ready) CO2圧入船
AiP授与式の様子
左から
東芝エネルギーシステムズ株式会社(環境配慮型CCS実証事業代表事業者)長野敬太プロジェクトマネージャー
国立研究開発法人産業技術総合研究所 赤井誠名誉リサーチャー(環境配慮型CCS実証事業プロジェクトリーダー)
環境省 地球環境局地球温暖化対策課地球温暖化対策事業室 宮岡俊輔室長補佐
一般財団法人日本海事協会 会長 坂下広朗
株式会社新来島サノヤス造船 森本洋二代表取締役社長社長
上野トランステック株式会社 上野元代表取締役副社長
以上
(*1) 環境配慮型CCS実証事業における将来的にCO2圧入設備を搭載できるように船体計画されたCO2輸送船の呼称
(*2) 推進器自体が回転し、推進と操舵の2つの役割を併せ持つ方式
(*3) 船尾を切り上げたような船型
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