Press Release

標題:
コンテナ船 “MOL COMFORT” の海難事故について(その6)

2013年11月1日

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)(会長:上田 德)は、2013年6月17日に発生したコンテナ船 “MOL COMFORT”のインド洋における海難事故を受け、事故調査チームを結成し事故原因の究明に取り組んでいます。

一方、国土交通省主導によるコンテナ運搬船安全対策検討委員会(Committee on Large Container Ship Safety)が2013年8月29日に発足し、大型コンテナ船の安全対策を検討しています。本会は上記の本会事故調査チームによる独自の事故調査に加え、この検討委員会にもメンバーとして参加し、積極的に活動を進めてきています。

これまでの本会の調査・検討、及び、10月28日に開催された国土交通省の第3回コンテナ運搬船安全対策検討委員会での審議結果を受け、現時点において得られた見解を以下に報告します。

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折損事故の際に船体中央部の船底にまず浸水が発生していることから、船体中央部の船底から構造破壊が始まったものと考えられる。このため、シミュレーション計算では、船体中央部の船底に作用していたと考えられる荷重を想定して、船体中央部の構造強度をシミュレーションにより評価し、船体の折損がどのように進行したのかを推定することとした。また、シミュレーションに用いる船体中央部の船体構造の有限要素法によるモデル化について、試計算を実施して適切にシミュレーションを行える見通しを得た。

船体に作用した荷重を想定するため、事故船がこれまで遭遇した気象海象や貨物の積載状態などについて調査することとした。また、事故船と同様の構造設計の大型コンテナ船(以下、「同型船」と言う。)に対する点検も実施した。

同型船に関する安全点検の結果、船体中央部の二重底船底外板で船体横断面の中心線付近に高さ20mm程度の座屈変形(船底外板が船内側又は船外側に山形に変形)が見られた。このような変形が折損事故の端緒となったのかどうかについては、現時点では明らかでない。なお、これらのコンテナ船は既に予防的な安全強化策として船体強度を大幅に引き上げる船体構造の強化工事などを実施している。また、事故船とは構造設計の異なる大型コンテナ船の船底にも同様の変形が発生しているのか、船主の協力も得て調査することとした。

今後、作用荷重と船体強度等のシミュレーションを進め、事故発生シナリオの推定と安全対策の検討を行うこととした。

現時点までに得られた上記見解を基に、本会は類似事故防止を図るため、大型コンテナ船に対する安全対策として以下を提案する。
船体中央部の船底外板部に変形が生じていないかを乗務員により可能な範囲で点検することを推奨する。本会は、船主の依頼があれば、検査員を無償で立会させる。
点検の結果、同一船体断面の幅方向に変形が連続して認められる場合は、船級による臨時検査を実施する。

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本会は、国土交通省のコンテナ運搬船安全対策検討委員会と連携を密にしながら、引き続き調査、検討作業を鋭意進め、その結果を最終報告書に纏める予定としています。

以上

この件に関するお問い合せ先:
一般財団法人 日本海事協会
会長室
Tel: 03-5226-2047
Fax: 03-5226-2034
E-mail: eod@classnk.or.jp

ClassNK - EOD

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