Press Release
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日本郵船によるアンモニア燃料供給船に関わる基本設計承認(AiP)を発行
2022年9月28日
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、日本郵船株式会社が開発したアンモニア燃料供給船(Ammonia Bunkering Vessel: ABV)に対し、基本設計承認(AiP)を発行しました。本会初のABVを対象としたAiPとなります。
燃焼時にCO2を排出しないアンモニアは、船舶の脱炭素燃料として活用が期待される一方、人体への毒性や材料に対する腐食性が指摘されており、適切な安全確保措置が講じられる必要があります。本会は、アンモニア燃料によるゼロエミッション船舶に向けたプロジェクトに安全性評価の観点から関与し、また、必要な基準として、アンモニア燃料船に関わる船舶、船員及び環境に与えるリスクを最小化するための設備、制御及び安全装置等に関する要件等を規定した「代替燃料船ガイドライン」を発行しています。
日本郵船が開発したABVは、2020年代後半からの普及が予想されているアンモニア燃料船への燃料補給船として使用が予定されています。同社は、設計図面を独自に作成し、かつ、通常は造船契約後の詳細設計段階に行われる図面と紐づいた3Dモデルの作成を初期段階のコンセプト設計で導入する手法を用いることにより、アンモニアによる危険場所や脱出経路に関するリスクアセスメント(HAZID: Hazard Identification Study)において、アンモニアの毒性等に対して十分な安全対策を織り込んだ仕様の考案が可能となっています。
今般、本会は日本郵船が開発中のABVに対し、IGCコードを取り入れた本会鋼船規則「N編」などに基づく審査を実施の上、関連規則への適合を確認し、AiPを発行しました。本会のAiP図面承認過程においてその一部が2D図面の代替として初めて3Dモデルを使用しており、開発プロジェクトにおける3Dモデルの役割を大幅に拡大させました。
本会は、今後も脱炭素化に向けた先進的な取り組みに積極的に参画してまいります。また、フロントランナーとの協業により得られた知見を規則やガイドラインに取り入れることで業界全体の脱炭素化を支援してまいります。
以上
AiP証書授与式
右:日本郵船株式会社 工務グループ長 山本泰様
左:一般財団法人日本海事協会 執行役員技術本部長 松永昌樹
※撮影時のみマスクを外しています。
アンモニア燃料供給船の3Dモデル(提供:日本郵船)
基本設計承認(Approval in Principle: AiP)について:
設計初期の段階あるいは特定の実装対象船舶が決定する前の段階で、国際条約や船級規則など既存の規制に基づき、設計を審査し、要件への適合の証明として発行する。後工程における規制面の手戻りの防止や、船級登録時の審査時間の短縮に繋がるとともに、設計状況の対外的なアピールの技術的根拠として活用することが可能となる。
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