Press Release

2022年11月30日

一般財団法人日本海事協会（ClassNK）は、川崎重工業株式会社が開発した160,000m3大型液化水素運搬船に搭載する水素焚き二元燃料（DF）発電機エンジンおよび関連システムに対し、基本設計承認（AiP）を発行しました。本会初の水素焚きDF発電機エンジンを対象としたAiPとなります。

水素は、燃焼時にCO2を排出しないことから、脱炭素社会を実現するためのクリーンエネルギーとして活用が期待されています。本会は、水素の海上輸送及び舶用燃料としての使用に寄与すべく、必要な基準の策定や認証に取り組んできました。川崎重工による160,000m3大型液化水素運搬船については、これまでに貨物格納設備（CCS）、貨物取扱設備（CHS）、水素のボイルオフガスを燃料として使用する二元燃料主ボイラ、これらを踏まえた統合的な設計に対するAiPを発行しています。

今般、本会は同社が開発した水素焚きDF発電機エンジンおよび関連システムに対し、IGCコードを取り入れた「鋼船規則N編」および国際海事機関（IMO）の「液化水素ばら積み運送のための暫定勧告」を取り入れた本会「液化水素運搬船ガイドライン」などに基づく審査、またHAZIDによるリスク評価結果の検証を通じ、所定の要件への適合を確認したことからAiPを発行しました。

川崎重工の水素焚きDF発電機エンジンは、水素と低硫黄燃料油を燃料として自由に切り替え可能なエンジンです。水素燃料の選択時は、本船の液化水素貨物タンクから自然発生したボイルオフガスを主燃料として95%以上のカロリー比率で混合のうえ発電し、船内へ電力を供給することで、船舶から排出される温室効果ガスを従来から大幅に削減することが見込まれます。

本会は、今後も脱炭素化に向けた先進的な取り組みに積極的に参画してまいります。また、フロントランナーとの協業により得られた知見を規則やガイドラインに取り入れることで業界全体の脱炭素化を支援してまいります。

以上


水素焚きDF発電機エンジンイメージ（提供：川崎重工）

基本設計承認（Approval in Principle: AiP）について：
設計初期の段階あるいは特定の実装対象船舶などが決定する前の段階で、国際条約や船級規則など既存の規制に基づき、設計を審査し、要件への適合の証明として発行する。後工程における規制面の手戻りの防止や、船級登録時の審査時間の短縮に繋がるとともに、設計状況の対外的なアピールの技術的根拠として活用することが可能となる。

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