Press Release
標題:
世界初、内航船用エンジン実機を用いたアンモニア混焼試験を開始
―燃料アンモニアの利用を通じた温室効果ガス排出量削減の実現へ―
日本郵船株式会社
株式会社IHI原動機
日本シップヤード株式会社
一般財団法人日本海事協会
2023年5月16日
日本郵船株式会社(以下「日本郵船」)、株式会社IHI原動機(以下「IHI原動機」)、日本シップヤード株式会社(以下「日本シップヤード」)、株式会社ジャパンエンジンコーポレーション(以下「ジャパンエンジン」)、一般財団法人日本海事協会(以下「日本海事協会」)は、5者で進めている「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」の陸上試験を開始し、世界で初めて4ストロークアンモニア燃料エンジン実機で、混焼率80%の燃料アンモニアの安定燃焼に成功しました。
1. 概要
本研究開発は日本郵船、IHI原動機、日本シップヤード、ジャパンエンジンの4社が2021年10月に国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)のグリーンイノベーション基金事業(注1)の公募採択を受けた「アンモニア燃料国産エンジン搭載船舶の開発」の一環で行っているものです。
本年4月、IHI原動機は同社太田工場(群馬県)にて、内航船(アンモニア燃料タグボート、以下「A-Tug」)主機関向け280mmボア(注2)の4ストロークアンモニア燃料舶用エンジンの実機による運転試験を開始しました。
アンモニアは燃焼時にCO2を排出しないため、地球温暖化対策に貢献する次世代燃料として期待されていますが、毒性があるため取り扱いが難しい物質です。今回、安全確保を徹底しながら、実機を用いた燃料アンモニアの混焼割合を高める試験で混焼率80%を達成すると共に、排ガス後処理装置や燃料供給設備等の試験もあわせて実施し、これらの安定した一体運用にも世界で初めて成功しました。
さらに今回の試験では、二酸化炭素(CO2)の約300倍の温室効果がある一酸化二窒素(N2O)や未燃アンモニアの排出がほぼゼロとなること、運転中および停止後も実機からのアンモニア漏洩はない事ことも確認されました。
アンモニア燃料エンジン実機
なお、この試験に先立ち、4月11日にIHI原動機 太田工場にてIHI原動機、日本郵船、日本シップヤード、日本海事協会による実機視察と技術検討会議を実施しました。実機視察にはA-Tugの改造を担う京浜ドック株式会社及び、同船の運航管理を担う株式会社新日本海洋社も参加し建造・運航に係る技術確認を行いました。
4月11日に開催された視察会の様子 | A-tugのCG図 |
2. 今後の予定
混焼率のさらなる向上による温室効果ガス(GHG)削減効果の最大化を目指し、今後も同エンジンの陸上試験を継続した後、2024年6月に竣工するA-Tugに搭載される予定です。
さらには、今回の内航船向けの研究開発を踏まえて、外航船補機関向け250mmボアのエンジン開発にも取り組みます。外航船補機関向けエンジンは、日本郵船、日本シップヤード、ジャパンエンジン、IHI原動機、日本海事協会で共同開発中のアンモニア燃料アンモニア輸送船(AFAGC、2026年10月竣工予定)への搭載を予定しています。
今回の実証試験の成功を皮切りに、世界初となるアンモニア燃料船舶の建造や、国際ルール整備への貢献等を含めた安全運航の実現に向け、引き続き5者が一丸となり日本海事クラスターの国際競争力強化を図っていきます。
スケジュール
各社概要
<日本郵船株式会社>
本社:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 曽我 貴也
ウェブサイト:
http://www.nyk.com/
<株式会社IHI原動機>
本社:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 村角 敬
ウェブサイト:
https://www.ihi.co.jp/ips/indexj.html
<日本シップヤード株式会社>
本社:東京都千代田区
代表者:代表取締役社長 前田 明徳
ウェブサイト:
https://www.nsyc.co.jp/
<一般財団法人日本海事協会>
本社:東京都千代田区
代表者:代表理事会長 坂下 広朗
ウェブサイト:
https://www.classnk.or.jp/
<株式会社新日本海洋社>
本社:神奈川県横浜市
代表者:代表取締役社長 加藤 毅
ウェブサイト:
https://www.snkaiyosha.co.jp
<京浜ドック株式会社>
本社:神奈川県横浜市
代表者:代表取締役社長 小澤 敏也
ウェブサイト:
https://www.keihindock.co.jp/
(注1) グリーンイノベーション基金事業
「2050年カーボンニュートラル」に向けてエネルギー・産業部門の構造転換や、大胆な投資によるイノベーションといった現行の取組みを大幅に加速するため、NEDOに2兆円の基金を造成し、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、経営課題として取り組む企業等に対して、最長10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する基金制度。グリーン成長戦略において実行計画を策定している重点14分野を中心に支援が行われる。
(注2)ボア
エンジン内のシリンダー直径のこと。
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