Press Release

標題:
世界初、日本郵船、日本シップヤード、IHIによる浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備搭載バージに関わる基本設計承認(AiP)を発行

2023年1月5日

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、日本郵船株式会社、日本シップヤード株式会社、株式会社IHIが共同開発した浮体式アンモニア貯蔵再ガス化設備搭載バージ(A-FSRB: Ammonia Floating Storage and Regasification Barge)に対し、基本設計承認(AiP)を発行しました。アンモニアを貨物として取り扱うA-FSRBへのAiP発行は世界初となります。

燃焼時にCO2を排出しないアンモニアは、脱炭素に向けた燃料として、火力発電所などでの活用に注目が集まる一方、貯蔵や再ガス化のための陸上設備の整備が課題となります。この度、日本郵船、日本シップヤード、IHIが共同開発したA-FSRBは、産地から液体として輸送されたアンモニアを洋上で受け入れて貯蔵し、需要に応じてアンモニアを温めて再ガス化し陸上のパイプラインへ送出できる洋上浮体設備です。陸上にアンモニア貯留基地を建設する場合と比べ、低コストかつ短期間に導入が可能で、陸上設備の代替としてA-FSRBを活用することで、燃料アンモニアの早期の安定供給に寄与することが期待されます。

A-FSRBの設計に対し、本会は海洋構造物に関わる鋼船規則「PS編」及び「浮体式海洋液化天然ガス及び石油ガス生産、貯蔵、積出し、再ガス化設備のためのガイドライン」に基づく審査を実施しました。また、貨物をアンモニアとした場合の浮体式貯蔵再ガス化設備に関する国際的に統一された条約や規則等は存在しないため、3社と本会は、様々な偶発的事象に対する包括的なリスク特定を行い、初期検討段階から技術課題の洗い出しに取り組みました。リスク特定に際しては、従来の船舶や浮体構造物(重油・LNG等)との差分を特定しその影響評価を行う手法(ギャップ分析法)を用いてリスクの特定を進めました。この結果も踏まえ、AiPを発行したものとなります。

本会は、今後も脱炭素化に向けた先進的な取り組みに積極的に参画してまいります。また、フロントランナーとの協業により得られた知見を規則やガイドラインに取り入れることで業界全体の脱炭素化を支援してまいります。

以上

A-FSRB外観イメージ図(提供:日本郵船)


基本設計承認(Approval in Principle: AiP)について:
設計初期の段階あるいは特定の実装対象船舶が決定する前の段階で、国際条約や船級規則など既存の規制に基づき、設計を審査し、要件への適合の証明として発行する。後工程における規制面の手戻りの防止や、船級登録時の審査時間の短縮に繋がるとともに、設計状況の対外的なアピールの技術的根拠として活用することが可能となる。

ClassNK - EOD

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