低温・低圧型液化CO₂貨物タンクの腐食評価に関する共同研究を開始
-腐食リスクに基づく合理的な設計・維持管理により、CCUSバリューチェーンの安全性・経済性向上に貢献-
2026年6月29日
一般財団法人日本海事協会
国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)と国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所は、低温・低圧条件における液化CO₂(LCO₂)貨物タンクの腐食量評価に関する共同研究を開始しました。
本研究は、LCO₂輸送における腐食リスクを適切に評価するための技術基盤の確立を目的としています。本研究により、LCO₂貨物タンクの安全性向上に加え、腐食リスクと不純物除去コストのバランスを踏まえた合理的な設計・運用が可能となります。これにより、CCUS(CO₂回収・貯留)バリューチェーン全体の安全性・経済性の向上が期待されます。
背景CCUSの社会実装に向け、船舶によるLCO₂輸送の重要性が高まっています。欧州では実際に越境LCO₂輸送が開始されるなど、LCO₂輸送は実用化段階に入りつつあり、アジア太平洋地域においても今後大規模な輸送需要の拡大が見込まれています。
一方で、微量であっても水分やSOx(硫黄酸化物)等の不純物がCO₂に混入することで腐食が生じることが知られています。そのため、LCO₂環境における腐食量を混入した不純物種・量に応じて推定する技術が必要になっています。
研究概要本研究では、海上技術安全研究所にCO₂環境腐食試験装置を設置し、想定される不純物の種類および濃度を制御した条件下で腐食試験を実施します。本研究で設置する腐食試験装置は、LCO₂の大規模輸送に適した低温・低圧環境を模擬することが可能です。
ここで得られた実験データを分析し、LCO₂貨物タンクの設計および維持管理に必要となる基盤データを整備します。
期待される成果本研究成果は、日本海事協会の規則・ガイドライン等に反映され、合理的かつ安全なLCO₂貨物タンク設計への活用が見込まれます。
また、本研究により、腐食リスクに基づく合理的な不純物管理の考え方を提示することで、船舶の安全設計のみならず、CCUSバリューチェーン全体のコスト最適化*1への貢献も期待されます。
研究体制本研究は、日本海事協会および海上技術安全研究所に加え、東京大学社会連携講座「未来エネルギーインフラ材料高度信頼性探求拠点(MEIT)」と連携し、日本を代表する材料信頼性評価に関する知見を集約した体制で実施します。
今後の展望本研究を通じ、低温・低圧LCO₂輸送における腐食評価の基盤を確立し、将来的な設計基準および国際的なルール形成への貢献を目指します。
*1 不純物の除去によりCO2純度を高めるためにはコストがかかる一方、含まれる不純物が一定程度以下であれば、腐食予備厚を増加させることなく対応することも可能と考えられ、結果的にコスト削減につながる可能性があります。本研究により、不純物の種類・濃度と腐食量の関係を明らかにすることで、サプライチェーン全体のコスト最適化に寄与するCO2純度管理の判断が可能となります。
<お問い合わせ先>
一般財団法人日本海事協会 開発本部 技術研究所 Tel: 03-5226-2737 E-Mail: ri@classnk.or.jp URL: https://www.classnk.or.jp/ | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所 企画部広報係 Tel:0422-41-3005 Fax:0422-41-3258 E-Mail:info2@m.mpat.go.jp URL:https://www.nmri.go.jp |