Press Release

2023年10月19日

一般財団法人日本海事協会（ClassNK）は、株式会社商船三井、商船三井ドライバルク株式会社、尾道造船株式会社、川崎重工業株式会社、株式会社ジャパンエンジンコーポレーションの5社による水素燃料多目的船の区画配置コンセプトに対し、基本設計承認（AiP）を発行しました。大型低速2ストローク水素燃料エンジンを主機関として搭載する船舶に関するAiP発行は世界初となります。

本船舶は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構（NEDO）によるグリーンイノベーション基金事業の採択を受けた「舶用水素エンジンおよびMHFS*1の開発」の一環として、2027年度頃から2年間、実証運航が行われる予定です。実証運航に先立ち、2026年度までにジャパンエンジンが大型低速2ストローク水素燃料エンジンを、川崎重工がMHFSを本船舶に搭載します。また、商船三井と商船三井ドライバルクは本船舶の船主・運航管理、尾道造船は本船舶の開発・建造を担当し、実証運航に向けた協力が行われます。

本会は、本船のMHFSの区画配置コンセプトに対し、IGFコードを取り入れた鋼船規則GF編などに基づく審査、およびPre-HAZID*2によるリスク評価結果の検証を通じ、所定の要件への適合を確認したことから、AiPを発行しました。

今後の実証運航に向けた本プロジェクトのさらなる検討に対し、本会も安全性を評価する立場からの貢献を進め、海運の脱炭素化への支援に努めてまいります。

以上

*1 Marine Hydrogen Fuel System（舶用水素燃料タンクおよび燃料供給システム）

*2 本事業において船舶全般を対象として実施するHAZID会議の前に舶用水素燃料タンクと燃料供給システムの区画配置コンセプトのレビューの位置付けで実施されたリスク評価会議


水素燃料多目的船（1万7500重量トン型）（完成予想図）
（提供：ジャパンエンジンコーポレーション）


AiP授与式写真


（左より）
尾道造船　取締役　生産本部長　本屋　裕之様
商船三井ドライバルク　取締役　常務執行役員　森口　輝実様
商船三井　技術革新本部　技術部　技術部長　杉本　義彦様
日本海事協会　執行役員　技術本部長　松永　昌樹
川崎重工　理事　舶用推進ディビジョン長　村田　英彰様
ジャパンエンジン　代表取締役　常務取締役　進藤 誠二様

基本設計承認（Approval in Principle: AiP）について：
設計初期の段階あるいは特定の実装対象船舶が決定する前の段階で、国際条約や船級規則など既存の規制に基づき、設計を審査し、要件への適合の証明として発行する。後工程における規制面の手戻りの防止や、船級登録時の審査時間の短縮に繋がるとともに、設計状況の対外的なアピールの技術的根拠として活用することが可能となる。詳細は本会ウェブサイト参照。

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