Press Release
標題:
GTTによる3万m3級メンブレン方式LNG運搬船にAiPを発行 ~積み付け制限が無い設計の実現可能性を実証~
2024年10月29日
一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、GTT社によるMark III Flex方式のメンブレンタンク2基を搭載した3万m3級LNG運搬船に対し、基本設計承認(AiP)を発行しました。本船はそのバラストタンクの配置およびバラスティングオペレーションにより、LNGの積み付け制限を撤廃することが可能となっており、運航の柔軟性の向上が期待されます。本AiPはこのコンセプト設計が実現可能であることを実証するものです。
通常メンブレンタンクを搭載するLNG運搬船では、スロッシングに対する強度検討結果次第で、LNG貨物の中間液位に対して積み付け制限を設ける必要があり、これがフィーダー輸送において課題となる場合があります。
今般GTT社が開発したLNG運搬船は、バラストタンクを上下に分割し、バラスト調整時に上部バラストタンクから注水することにより、復原性要件を満足しつつメタセンタ高さ(GM)を小さく保ち、ロール加速度を低減させる設計となっています。これにより、貨物液位によらずスロッシング荷重の過度な上昇が抑制され、積み付け制限の撤廃が可能となります。
本会は本船のコンセプト設計に対し、IGCコードを取り入れた本会鋼船規則「N編」などに基づく審査を行い、所定の要件への適合を確認したことから、AiPを発行しました。実現可能性の確認にあたっては、本コンセプトがバラストタンクの配置やバラスティングオペレーションに依存していることから、造船所・運航者が設計・運用する上で順守すべき条件やパラメータの洗い出しを行いました。
新たな技術開発や社会実装に対し、本会は安全性評価をはじめとした貢献に引き続き努めてまいります。
以上
AiP授与式の様子
左:Mr. Jean-Baptiste Choimet, CEO of the GTT Group
右:一般財団法人日本海事協会 常務理事 技術本部長 松永 昌樹
本船イメージ(提供:GTT社)
基本設計承認(Approval in Principle: AiP)について:
設計初期の段階あるいは特定の実装対象船舶が決定する前の段階で、国際条約や船級規則など既存の規制に基づき、設計を審査し、要件への適合の証明として発行する。後工程における規制面の手戻りの防止や、船級登録時の審査時間の短縮につながるとともに、設計状況の対外的なアピールの技術的根拠として活用することが可能となる。詳細は本会ウェブサイト参照。
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