Press Release

標題:
ヤンマーパワーテクノロジーの舶用水素燃料電池システムに対し、国内初の基本設計承認(AiP)を発行

2024年1月17日

一般財団法人日本海事協会(ClassNK)は、ヤンマーパワーテクノロジー株式会社(ヤンマーPT)が開発した舶用水素燃料電池システムに対し、基本設計承認(AiP)を発行しました。国内メーカーの舶用水素燃料電池システムに対するAiP発行は本件が初となります。

水素燃料電池は、船舶の脱炭素化に向けた有望な手段として注目されています。一方、従来のガス燃料とは異なる特性を有する水素を取り扱うため、安全性に関わる議論がIMOでも進められています。本会は、船舶における燃料電池の活用機会の拡大に向け、IMOによる暫定ガイドライン*1や関連するIEC規格などを基に、燃料電池搭載船の設計および燃料電池発電システムに関わる安全要件として「燃料電池搭載船ガイドライン(第2版)」*2を発行しています。

ヤンマーPTが開発した舶用水素燃料電池システム(300kW)は、システム筐体内にガスバルブユニットなどの主要補機類が内蔵され、船体への搭載を容易にすることを目指した設計となっています。また、本システムの複数台並列連結や、舶用水素燃料電池モジュールの搭載数変更などにより、さまざまな船舶の出力要求への対応が可能とされています。

今般本会は、本システムに対し、本会ガイドラインに基づく審査、また、要求される試験およびリスク評価の結果を踏まえ、所定の要件への適合を確認したことからAiPを発行しました。

本会は、今後も脱炭素化に向けた先進的な取り組みに積極的に参画してまいります。また、フロントランナーとの協業により得られた知見を規則やガイドラインに取り入れることで業界全体の脱炭素化を支援してまいります。

以上

*1 “INTERIM GUIDELINES FOR THE SAFETY OF SHIPS USING FUEL CELL POWER INSTALLATIONS”: MSC.1/Circ. 1647
*2 2023年9月発行。IMO暫定ガイドライン、陸上の定置用燃料電池の要件であるIEC62282、IGFコード、制御・監視・警報・安全システムに使用される電気・電子機器に対する承認基準を定めたIACS UR E10、また開発過程で得られた知見を取りまとめ、設計方針、火災安全、電気設備、制御・監視、安全装置など燃料電池搭載船の設計および燃料電池発電システムに対する安全要件を規定している。

AiP授与式写真

(左より)
日本海事協会 副会長 重見 利幸
ヤンマーPT 取締役 特機事業部長 廣瀬 勝様

水素燃料電池システム(300kW機)(提供:ヤンマーPT)


基本設計承認(Approval in Principle: AiP)について:
設計初期の段階あるいは特定の実装対象船舶が決定する前の段階で、国際条約や船級規則など既存の規制に基づき、設計を審査し、要件への適合の証明として発行する。後工程における規制面の手戻りの防止や、船級登録時の審査時間の短縮に繋がるとともに、設計状況の対外的なアピールの技術的根拠として活用することが可能となる。詳細は本会ウェブサイト参照。

関連プレスリリース:
「燃料電池搭載船ガイドライン(第2版)」を発行
https://www.classnk.or.jp/hp/ja/hp_news.aspx?id=10303&type=press_release&layout=1

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