研究開発の取り組み・方針

船級事業に直結した研究開発に加え、海事社会の一員として、
中長期的な展望に立った研究開発を推進しています。

ClassNKは、1955年に技術研究所を設立し、各種の基礎研究・応用技術研究並びに技術計算プログラムの開発などを行ってきましたが、海事関連業界を取り巻く環境の変化並びに関連業界からの船級協会への様々な要望に対応できる、より高度な先進技術を開発するため、1993年、千葉・土気地区に研究センターを開設し、ここに技術研究所及びコンピュータ部門を移転、1996年に情報技術部を新設統合しました。

また、1997年より先進技術に基づいて船体構造規則を全面的に見直すプロジェクト(RuleC100)が開始され、規則開発を担う開発部も研究センターに移動して技術開発関連部門が密接に連携しつつ規則開発プロジェクトが進められました。1999年には先進技術を反映させた船体構造強度に関する基本的な技術指針を完成し、その後、 2001年から2003年にかけて、タンカー、バルクキャリア及びコンテナ船それぞれに対する船体構造強度に関するガイドラインを相次いで開発し、発行しました。
2006年4月に発効したIACSのばら積み貨物船共通構造規則(CSR)には、上記のガイドラインの主要な技術要素が取り入れられ、本会はIACS CSR開発に主導的役割を果たしました。

さらに、2001年には、高度情報化の中核機能を担うべく、情報センターを研究センターに隣接して開設し、この二つのセンターの併設により、 21世紀における船級協会としての業務を支える「技術開発」と「高度情報化」の基盤整備を行いました。

2007年度からは2ヵ年計画で第1次中期研究開発計画を実施し、業界のニーズに応えた実用的な成果の創出を目的として実用型研究開発プロジェクトを実施しました。さらに、2009年度、2010年度は第2次中期研究開発計画として、大型コンテナ船、LNG船、海洋環境の3つの分野を中心とした研究開発を実施しました。また、2009年4月には、このような研究開発を、より一層顧客のニーズに応えた、また時宜にかなった的確なものとするべく、関係する部所を統括する研究開発推進室(後に「部」)を新設し、包括的な研究開発が行えるようにしました。

2016年10月、本会の研究開発活動を更に推進するための体制整備として、技術研究所と研究開発推進部を統合し「技術研究所」としました。「技術研究所」は研究開発に関する本会の事業本部として位置づけ、従来の技術研究所が担ってきた研究開発を担当するチームと、それまでの研究開発推進部が担ってきた調査企画を担当するチームとで構成されています。

この新体制のもと、2017年1月には、本会の中期経営計画で掲げられた基本戦略の一つ「研究開発活動の推進」を踏まえ、むこう5年間の中期研究開発事業計画を策定しました。同年7月、この中期研究開発事業計画を踏まえ、中長期的な展望に立った研究開発ロードマップを策定しました。さらに5年間の実績等を踏まえ、2022年1月にロードマップを見直しました。

技術研究所は本会の研究開発活動の中軸として、船級事業に直結した研究開発活動と海事社会の一員として果たすべき役割に基づく活動を両輪とした取組みを推進しています。また、研究開発の推進を通じて、船級協会の社会的使命である船舶の安全確保と海洋環境保全への貢献、ならびに高度情報技術による海事技術イノベーションと、それを通じた顧客サービスのいっそうの拡充に努めてまいります。