その他研究開発(共同研究等)

船舶における資源循環型技術に関する調査研究

研究実施期間:2009年12月25日 ~ 2011年02月28日

共同研究者

財団法人日本船舶技術研究協会
社団法人日本中小型造船工業会
A造船所
A調査会社

研究の概要

 バーゼル条約は、先進国で発生した廃棄物は先進国内で処理するべきという環境的な思想から、有害廃棄物の越境移動を原則的に禁止するものである。 国際的なライフサイクルを持つ船舶の世界では、バーゼル条約による厳密な環境規制はそぐわないため、これを避けるべく2009年には自主規制的にIMOでシップリサイクル条約を採択した。 しかし、同年英国で自国内に停泊していた外国船をバーゼル条約違反で拘留する事例もあり、環境活動が盛んな欧州ではバーゼル条約の原理原則をあえて船舶にも適用し、自国船は自国内でリサイクルするべきとする立場は依然として残っていくことが予想される。
 一方で陸上分野では廃棄された携帯電話などを途上国から輸入し、レアメタルの回収にあたるなど、リサイクル産業が新たなグリーン資源産業として注目され始めている。 日本での船舶解撤が経済的に事業として成り立たなくなって久しいが、環境指向の観点からグリーン産業として船舶解撤を先進国で今一度存立させるニーズは高い。
 本プロジェクトでは、実船を対象に船舶の構造と設備機器における有害物質と希少金属などの有用物の所在を詳細に把握し、船舶から回収した資源を最大限有効に循環させるための技術方策を模索することを目的とする。

1. 新造船を対象とした物質・材料リストの作成
 新造船1隻を対象にした有害物質リスト(インベントリ)を作成するとともに、船舶を構成するすべての材料および機器のリストを作成する。機器等に使用されている物質・材料は、サプライチェーンをさかのぼって可能な限り詳細に把握する。

2. 現存船を対象とした物質・材料リストの作成
 現存船2隻(内LNG船1隻)を対象に、1.と同様の作業を行う。

3. 船舶搭載機器等への有効資源使用状況調査
 造船所、舶用機器メーカー、レアメタル回収業者等への聞き取り調査を実施し、船舶を構成する舶用機器への有効資源(貴金属、レアメタルなど)の使用状況を把握する。

4. 日本船社支配船舶全体の有効資源物質の概算
 以上の調査結果から有効資源物質の量的概算ならびに金額概算を行う。

研究成果報告書

その他研究開発(共同研究等)に戻る