その他研究開発(共同研究等)

NGH輸送船 緊急時船内ガス化の研究開発

研究実施期間:2010年08月31日 ~ 2011年06月30日

共同研究者

三井造船株式会社

研究の概要

 世界のエネルギー需要は、途上国を中心とした急速な経済成長と人口増を背景に増大を続けており、石油・石炭・天然ガスといった化石燃料が一次エネルギー需要の大半を占めている。 なかでも天然ガスは環境負荷が小さいことから、近年ますますクリーンなエネルギーとして注目を浴びている。 一般的に化石燃料開発では、燃料田の規模で採算ラインが決まってくることが多く、中小規模の燃料田は多数あるものの事業化はほとんど見送られている。 天然ガスを低温・高圧状態で水と反応させることで保持温度を大幅に上昇させる輸送媒体となる天然ガスハイドレート(NGH, Natural Gas Hydrate)は、極低温設備が不要となるなどLNG(液化天然ガス)よりも経済的に有利であり、採算ラインから外れているガス田を商用ベースに乗せてくる可能性が期待されている。
 NGHの海上輸送を担うNGH輸送船では、NGHを小片成型したNGHペレットをバルクキャリアベースの船で輸送することになる。 荷役時はバルクキャリア同様に機械式荷役装置によりペレットの積み下ろしを行うことができるが、ひとたび貨物艙内の荷役装置が故障すると、艙内はメタンガス雰囲気であるため、ペレットをすべてガス化して空気置換してからでないと修理に入ることができない。 この場合、艙内に海水温の清水を循環させてペレットを融解させることでガス化を進めることになるが、ペレット自体が氷点下のためシステム如何によっては循環水が凍結し艙内でオーバーフローする可能性がある。
 そのため、本プロジェクトではこの艙内ガス化システムを安全に実現させるために、特に知見のない循環水凍結問題について数値シミュレーションによる検討を進めていくことを目的とする。

1. 模型試験
 最適な模型形状・サイズ・循環水投入方法・循環水流量・試験材料(氷、NGHペレット)等の試験パラメータについて検討し、試験方案を作成する。 貨物艙模型を作成し、貨物艙設計温度(-20℃)状況下にて凍結状況を模擬したガス化試験を行い、循環水の凍結状況下におけるNGHペレットの分解を模擬するモデル化のためのデータを取得する。

2. シミュレーションプログラム作成
 模型試験結果を勘案し、循環水凍結現象のモデル化について検討し、このモデルを組み込んだガス化のシミュレーションプログラムを作成する。

3. 実船のシミュレーション
 上記プログラムを用いて実船用のガス化計算を実施する。この計算により、循環水のオーバーフローがなく、安定したガス化を行う安全性上問題のない船内ガス化システムを構築するための知見を得る。

研究成果報告書

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