その他研究開発(共同研究等)

耐熱無線通信タグを用いた現場物流管理に関する研究

研究実施期間:2011年04月01日 ~ 2011年11月30日

共同研究者

株式会社新来島どっく

研究の概要

 船舶のパイプは、一隻でおよそ6,000~10,000本にもおよび、印字やバーコードによる判別が困難なため、作業者が寸法などを手がかりに手作業で仕分けを行なっている。 この作業が煩雑なこと、仕分けに広い作業場所が必要なこと、人為的なミスが発生することが建造作業の効率を妨げている。
 このパイプ判別作業へ無線通信タグ(以下RFID)を用いることで船舶建造作業の効率化を達成するため、特にパイプ加工処理の溶融亜鉛めっき下(温度環境:450℃)においても使用可能な耐熱性を持ったRFIDの研究開発を2010年度に共同研究として取組んだ。
 2010年度の研究の成果として、真空ガラス技術を利用したRFIDを作成することで溶融亜鉛めっき下での高温状態に耐えうることが確認できた。 しかし、亜鉛めっき前処理の薬剤による腐食、運搬や取付け中の衝撃、また建造現場へ適用可能な取付け方法といった課題に関しては、まだ十分な成果が得られていない。 また、2010年度の現場適用試験では、RFIDは非接触型の読取であるため埃や汚れの多い環境に強く、正確な位置決めを必要としないため作業の効率が高いといった点は評価されたが、現場での取付ステージの問題やRFIDを取付けることが困難な一部のパイプをどう一元管理するのかといった新たな課題も判明した。
 そこで本研究では、船舶の建造現場へ適用可能な耐久性の高い実用的なRFIDを開発すること、ならびに開発したRFIDを利用し、建造現場での作業性と効率を考慮した現場物流管理の手法を提案することを目的とする。
 なお、本研究の目的を達成する実用的なRFIDを開発することで、将来的には物流管理だけではなく、工程管理や保守といった課題にもRFIDの利用を促進したいと考えている。

1. 船舶の建造現場へ適用可能な耐久性の高いRFIDの開発を行う。

2. 開発したRFIDを用いて、船舶建造現場においての実証試験を実施する。これには建造現場でのパイプへのRFIDの取付、溶融亜鉛めっき処理、仕分け作業、現場間の輸送といった一連の作業を対象とする。

3. 実証試験の結果から、その費用対効果を検証する。

4. 開発したRFIDを利用し、建造現場での作業性と効率を考慮した現場物流管理の手法を提案する。 これには建造現場でのパイプへのRFIDの取付および取外しの方法、仕分け作業時の情報管理と活用の方法、建造現場での情報管理と活用の方法といった一連の工程を対象とする。

研究成果報告書

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