その他研究開発(共同研究等)

浮体式洋上風力発電の洋上施工に関する調査研究

研究実施期間:2011年08月25日 ~ 2012年03月31日

共同研究者

一般社団法人日本風力発電協会

研究の概要

 本研究では、日本で洋上浮体式ウィンドファームを設置する場合の建設に係る洋上施工の効率的な手法を明らかにするため、洋上風力発電の調査が経験豊富な海外の調査事業者に技術検討を委託するとともに、一般社団法人 日本風力発電協会 技術部会に設置された浮体式風力発電設備WGのメンバーを洋上風力発電の先進地域である欧州に派遣し、洋上作業船及び港湾での作業状況等の効率的な洋上施工の実態調査を行い、国内の洋上風力発電設備の洋上施工の円滑な実施のための必要な情報を得た。
 また、浮体式洋上風力発電は、浮体形式によって施工性が大きく異なることから、まず、先の海外の調査事業者に海外で評価検討されている各種浮体形式の実態調査を委託し、そのうち当面最も実現性が高いと考えられるスパー方式及びセミサブ方式について、浮体式風力発電設備WGが2.0MW及び5MW風車を搭載するとの前提で施工方法の検討を行い、浮体式洋上風力発電設備の洋上施工の技術的情報を得た。 あわせて、海外の調査事業者に欧州で用いられている施工法や工期をもとに洋上風力発電設備の建設コストの試算を委託し、以下の試算結果を得た。

スパー方式 (2.0MW):74万円/kW
  同   (5.0MW):54万円/kW
セミサブ方式(2.0MW):66万円/kW
  同   (5.0MW):48万円/kW

 なお、上記試算結果をもとに浮体式風力発電設備WG及び上記委託調査後に日本風力発電協会に発足した洋上コスト算定会議において、海外と国内との施工コスト(浮体、係留システム、運搬・設置)の違いを考慮し、極力、国内の実情を反映させるよう建設コストの修正作業を行った結果、現状の技術レベルで浮体式洋上風力発電設備を国内海域に20基設置した場合の建設コスト(単位出力あたり。海底ケーブル費用込み)は、以下のとおりとなった。

スパー方式 (2.5MW):115万円/kW
  同   (5.0MW): 91万円/kW
セミサブ方式(2.5MW): 99万円/kW
  同   (5.0MW): 77万円/kW

 現在、日本の陸上風力発電設備の建設コストは、概ね30万円/kW前後とされており、洋上浮体式洋上風力発電向けの相応のFIT価格が設定されることを考慮しても、今後、浮体設備と風力発電機のコスト低減を図ることが重要で、それにより事業化の期待が高まるものと考えられる。

 Cf.FIT単価(再生可能エネルギーの固定買取価格:kWhあたり)
   陸上風車22円、洋上着床式風車36円、太陽光42円(注:制度開始時の値)

研究成果報告書

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