その他研究開発(共同研究等)

タグボート燃料のLNG化に関する研究開発

研究実施期間:2011年12月01日 ~ 2012年03月31日

共同研究者

東京エルエヌジータンカー株式会社
株式会社日本海洋科学

研究の概要

 地球温暖化にかかる意識が世界的に高まる中で、船舶についても温室効果ガス(GHG)の排出量削減が積極的に進められている。すでに大気汚染物質放出規制海域(ECA)に指定された海域もあり、新造船のみならず、既存船舶についてもGHGの削減に向け、使用油種の改質・改善や排ガス処理装置の設置などの対応が必要となっている。
 一方、近年は原油が投機対象となったことにより、関連製品価格も上昇しており、運航船社にとっては大きな負担となっている。 そのため、非石油製品への移行、つまり舶用燃料のLNG化も積極的に進められている。 ノルウェーでは積極的にLNG燃料船の開発が進められており、既に20隻以上が建造・運航されている。
 国内においてもECA設定の要否に関する検討が進められていることに伴い、日本船舶技術研究協会を中心にLNG燃料導入に係る検討が進められている。 しかし、ハード面(機器設備の研究開発など)、ソフト面(法制度関係の整備など)とも多くの課題が山積しており、関係者間の調整も含め、実現には長時間を要する模様である。
 そこで、本事業においては、湾内などにて大型船の航行および着離桟を支援するタグボートを検討対象とし、燃料のLNG化実現に向け、調査研究を実施する。タグボートに限定することのメリットとしては、
・航続距離が限定的であることから、船内および陸上のLNG関連設備を小規模に留めることが可能
・地域を限定することにより、ステークホルダーを限定することが可能
・代替建造が定期的かつ比較的短期間に実施されることから需要を予測しやすい
などが挙げられる。
 以上より、本調査研究においては、調査対象地域を東京湾に設定することにより、今後検討が必要となる事項を抽出・整理することとする。

1. タグボートの実運用状況の把握
 現在の東京湾内におけるタグボートの稼働状況、燃料補給の場所、方法や頻度などについて情報を収集し、精査する。

2. LNG供給
 タグボートにLNGを供給するにあたっては、東京湾に存在する大型LNG船受け入れ基地を活用することが最も現実的である。特に、既に国内他基地へ二次輸送するべく小型LNG船へ払い出している基地も存在することから、ヒアリングを通して、最適な供給方法を提案する。

3. LNG供給設備
 LNGの供給にあたっては、上記東京湾内にある国内二次輸送向けに使用されている設備を流用することを前提とし、メーカー等へのヒアリングを通じて、タグボートへのLNG供給の現状を確認するとともに課題を整理する。

4. LNG燃料設備
 LNGを燃料として使用する場合には、タグボートの実運用に利用可能な主機のみならず、タンクから主機までの総合的なLNG燃料供給システムとして捉えることが肝要である。 そこで、本調査においては、造船所やメーカー等へのヒアリングを通じて、各社で進められているLNG燃料供給システムに係る研究開発の現状と課題(今後の見通しを含む)を精査する。

研究成果報告書

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