バラスト水処理装置(BWMS)の就航船適用に関する研究開発
研究実施期間:2010年12月01日 ~ 2012年05月31日
共同研究者
川崎汽船株式会社
株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
JFEエンジニアリング株式会社
株式会社エス・イー・エー創研
研究の概要
2004年に採択されたIMOのバラスト水管理条約は、一般的な商船であれば新造船・就航船を問わず、およそすべての船舶に適用される。
適用対象となる船舶は、2010年時点で70,000隻ほどとされており、条約発効後はこれらに対して何らかのバラスト水処理装置(BWMS)を約5年間で搭載し、緒船級の承認を受けなければならない。
BWMSの搭載工事や承認作業を短時間で適切に実施していくためには、あらかじめ図面上のエンジニアリング検証に加え実工事における課題や搭載したBWMSの機器確認などを含めた検証が必須である。
本研究では、上記課題について実船(48,000GTバルクキャリア「JPGUNJO」)での検証に基づいて抽出し、対策を考察することによって、今後のBWMS対応に資することを目的とする。
1. BWMS就航船適用のためのエンジニアリング
BWMSの選定や設置場所の決定に際して、技術検討項目、ヒアリング等で確認すべきポイントを整理するとともに、対象船のBWMS搭載に最適な設計を実施する。
2. BWMSの設計エンジニアリング
配置検討の上での自由度と工事期間の短縮や改造時の工事量軽減を目指したBWMS単体の合理的なモジュール化のための設計エンジニアリングを実施する。
3. 就航船における設置場所周囲の設計情報の3次元電子化と活用
BWMS搭載場所周辺の現状を3次元スキャナとデータ処理ソフトによる3次元CADデータとして再現し、設計に活用するいわゆる「3次元リバースエンジニアリング」の実用性について、精度ならびに工事準備作業の軽減の観点から検証する。
4. 改造工事全般
実船への改造工事を実施することにより、事前検討や準備や工事中の機器搬入、機能確認などの各節点において確認すべき項目を抽出する。
5. BWMSの実運用ならびに運用記録
BWMS搭載後のメンテナンスを含めた運用状況を適切に記録し、中間検査や定期検査などでの確認項目などについて知見を得るとともに、標準的な記録項目について検討する。
また併せて長期運用時の装置周辺(配管・タンク内塗装など)への影響について確認する。
6. BWMS運用時の継続調査
BWMSはIMOの承認段階において半年間のonboard運用が求められているが、さらに長期の装置性能(生物処理状況)を各季節および国内の各海域において確認する。