舶用燃料油初期判定用簡易分析装置及びそれによる判定技術の研究開発
研究実施期間:2011年01月01日 ~ 2012年09月30日
共同研究者
川重マリンエンジニアリング株式会社
研究の概要
船舶において、しばしば燃料油に起因するトラブルが発生する。
そのため、船舶乗務員は燃料油積み込み時に業者から当該燃料油の仕様書の提出を受けると共に、確認のため専門業者にサンプルの分析を依頼している。
分析結果の入手には早くても3日程度かかるが、乗組員はその分析結果が出るまで、タンク内の当該燃料油を使わずにトラブル防止に努めなければならない。
そこで、取扱が容易で、短時間で結果を得られる分析装置/手法が開発されたならば、燃料油積み込み時点で使用の可否が判断できるようになり、乗務員の負担が大幅に軽減されることとなる。
運用レベルでは、「使用可能」か「要分析」の初期判定が可能なだけでも作業環境は大きく向上するため、本プロジェクトは初期判定用簡易分析装置および判定技術の研究開発を行う。
燃料の分析にあっては燃料油を一定量、炉内で温度を変化させながら燃焼させ、重量減少量(残った部分に注目すれば加熱残渣量となる)により、燃料油の燃焼性の良否を判定することが有効と考えられている。
そのため、重量減少量(加熱残渣量)を船上で簡易に計測可能な装置の開発と、重量減少量(加熱残渣量)と燃料油の燃焼性の良否の相関を確認することにより、燃料油の燃焼性判定に有効な分析手法の確立へ向けて研究を行う。
1. 簡易分析装置の製作
燃料油(舶用C重油)を、炉内で温度を変化させながら燃焼させ、常温から800℃までの加熱温度と加熱残渣量の関係を計測・取得できる小型電気炉を試作する。
2. 簡易分析装置による計測手法の調査と有効性の確認
あらかじめ燃焼性が判定されている燃料油を含む数種類の燃料油を対象に、専門業者が行う分析結果と、簡易分析装置で取得した分析結果の相関を調査することで、燃焼性判定に有効な分析方法を検討する。