その他研究開発(共同研究等)

船舶解体用ボックスカッターの研究開発

研究実施期間:2012年01月15日 ~ 2012年11月30日

共同研究者

株式会社寺岡
株式会社キムラ

研究の概要

 大型船の解体は、経済的な理由から、バングラデシュ等の発展途上国の海岸において劣悪な労働環境の下に行われている。 これら地域における船舶解体は、作業時の安全確保や周辺環境保全のための必要な措置が十分なされておらず、死亡事故が多発するとともに、PCB、水銀、アスベスト等の有害物質や重油による周辺の環境汚染が問題となっている。
 これらの問題を解決するために、2009年5月国際海事機関(IMO)においてシップリサイクル条約が採択された。 今後、本条約を適切に実施するためには、世界的に安全かつ環境上適正な船舶リサイクル施設を十分に確保しなければならない。
 現在、日本は、世界有数の造船・海運国として本条約の発効に向けて積極的に取り組み、先進国型の船舶リサイクルシステムの構築を推進している。先進国型の船舶リサイクルを実現するためには、高い安全・環境基準を満たしつつ、解体コストを最小化した国際競争力を有する船舶リサイクルシステムを構築することが不可欠である。
 今後、事業化へ向けて、国際競争力をつけるためにはコスト削減(工期短縮)が大前提であり、各工程における作業時間を大幅に短縮する必要がある。船舶解体において最も効率化すべきプロセスはクレーン・玉掛作業であり、その解決策として、クレーン作業を伴うガス切断を最小化し、陸上解体で用いられている重機による解体を船舶でも最大限活用することが考えられる。 また、効率的かつ環境に優しい船舶解体手法として、フローティングドックを活用した解体方法が国土交通省の委員会で検討されている。
 これらの利点を組み合わせ、陸上で使用されている重機をフローティングドック内に配置し、クレーンを使用せずに、切断した鋼板を重機で掴んだままトレーラーに積載して搬出する方法が実現できれば、従来、時数の大半を要していたクレーン作業を無くすことができ、大幅な工期短縮が可能になると考えられる。
 そのためには、一回の切断作業で船体から鋼板を四角形に切り出し、そのまま鋼板を落とすことなくトレーラーに積載させる機能を有した重機が必要である。 また、切り出した鋼板の大きさが、「インサイズ(直接電炉に投入できるサイズ)」であれば、従来のように、船体から切り出したブロックをクレーンで陸上に揚げ、そのブロックをトレーラーに積載可能なサイズの鋼板に切断し、さらに、炉に投入する前に、その鋼板をインサイズに切断するという三段階の切断作業を一回で終わらせることができる。
 本事業では、汎用の重機に取り付け可能で、上記の機能を有するアタッチメント(箱型の切断歯面を有する油圧式切断機:「船舶解体用ボックスカッター」)を開発する。

研究成果報告書

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