その他研究開発(共同研究等)

船殻3次元CADを用いた設計の知識化と自動設計に関する研究

研究実施期間:2012年03月01日 ~ 2012年11月30日

共同研究者

株式会社新来島どっく

研究の概要

 コンピュータの発達に伴い、造船業の分野でも船殻3次元CADを用いた設計・生産への取組が盛んに行われており、特に生産設計と工作分野での活用が進んでおり、部品作成に用いるNC情報の生成だけでなく、重量、溶接長や塗装面積といった物量の算出、現場での組立支援といった取組みが行われている。
 一方で、基本設計から詳細設計をカバーする船殻設計の上流分野では、3次元CADの活用はようやく具体的な取組みが開始されたところと言えるであろう。この設計のステップでは、顧客のニーズに答え最適な設計を迅速に行うことが重要であり、作業の効率化と精度の向上が求められている。設計者は試行錯誤的に複数の設計案を比較検討しながら設計作業を進め、また艤装・機関といった様々な設計分野の設計者がお互いに設計を調整しながら作業を行っている。ここで3次元CADや3次元データを有効に活用した事例として船殻構造の設計で、共通構造規則計算や直接強度と3次元CADデータを連携したソフトウェアの開発が進んでいる。しかし、強度計算以外の船舶の様々な機能を調整しながら構造や部材の配置をする船殻の詳細設計では、3次元CADや3次元データを有効に活用した設計手法が確立されていないのが現状である。
 そこで船殻設計においても設計技能の伝承と設計の効率化、最適化を目的にベテラン設計者の暗黙知をデジタル化する取組みが必要であると考える。これに3次元CADと3次元データを有効活用する方法を組み合わせて、設計作業を視覚的に進めることが可能な設計支援ツールとして開発を行い、若手技術者による設計を支援する。
 本研究では、船舶の船殻設計の設計要件を洗出し、定義を行い知識化する。知識化された要件を船殻3次元モデル上で動作する設計自動化プログラムとして開発する。

1. 船舶の船殻設計の設計者へヒアリングを行う。
2. ヒアリング結果から船殻設計の注意点や問題点の洗出しを行う。
3. 注意点や問題点から自動化すべき案件(設計要件)を選択する。
4. 設計基準書や設計手順とも照らし合わせながら設計要件の知識化を行う。
5. 知識化された設計要件を用いた自動設計(プログラム化)を開発する。なお交通装置の配置に関する自動設計プログラムをサンプルプログラムとして開発する。
6. 実証試験用として船殻3次元CADとのインターフェイスを開発する。なおインターフェイス形式にはPrimeShip中間ファイル(XML形式)を用いる。
7. 船殻3次元モデル上で自動設計の実証試験を行う。

 本研究の目的を達成することで、船殻の設計上流分野での作業の効率化と精度の向上のみならず、船舶の設計全体の品質向上とベテラン技術者から若手技術者への技能伝承にも寄与できる。

研究成果報告書

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