その他研究開発(共同研究等)

SOLAS条約の石綿製品の船舶への新規搭載を禁ずる規則の実施手法の確立に関する調査研究

研究実施期間:2012年08月01日 ~ 2013年02月28日

共同研究者

社団法人日本舶用工業会

研究の概要

 国際海事機関(IMO)の海上人命安全条約(SOLAS)ではその第II-1章第3~5規則において、船舶へのアスベストの新規搭載を2011年1月1日より禁止している。しかしながら、オランダが同国に入港した約300隻の船舶(対象船舶は2002年7月1日以降に建造された船舶)を調査したところ、その95%から搭載禁止のアスベストが検出されたとして、IMOに対し条約の完全実施を徹底するよう主管庁に注意喚起すべき旨の提案を行った。
 これに対応して、2012年2月のIMOの設計設備小委員会(DE56)において国際船級協会連合(IACS)がアスベストの検査方法に関する統一解釈を提案し、親委員会である海上安全委員会の第90回会合(MSC90)にて承認されIMOサーキュラー(MSC.1/Circ.1426)として各国へ回章された。
 同サーキュラーでは、アスベストを使用していないことを宣言するAsbestos-free Declaration(アスベスト不使用宣誓書)および補足資料を、新造船に搭載される舶用機器については製造時に、また、すでに船上にある予備品についてはその使用時に作成し、年次検査ごとに検査機関が審査することを求めている。日本海事協会においても、テクニカルインフォメーション(TEC=0908)を発出し、7月1日より運用を開始しているところである。
 アスベスト不使用宣誓書及び補足資料の作成は、基本的には製造事業者からの申告に基づくものとなっており、真に石綿が含まれていないかにつき確認を行うことが必要とされている。
 このため、舶用製品の石綿の混入しやすい製品(ガスケット、パッキン、断熱材をその構成部品として含むもの)について、日本国内で材料レベルから調達された部品は除き、原則的にサンプリング試験を舶用製品メーカー側で自主的に実施するモデルを構築する。そうして、非石綿含有製品との確認がとれたものについて確認書を交付するとともに識別のため印(シール)を添付して管理することにより、サンプル試験等を実施した非石綿含有製品のデータベース化を図る。これによって、船主・造船所の利便を図るとともに検査の円滑化を促進する手法の構築を図る。

1. 非石綿含有製品確認手法モデルの構築
 石綿を含有していない製品であることの確認をどのように行うか検討を行い、モデルを構築する。

2. 非石綿含有製品確認手法モデルの実施およびデータベースの作成
 舶用製品メーカーの協力を得て、1.で構築した確認手法モデルを適用し、結果をデータベース化する。確認手法モデルに適合したものについて印(シール)を交付し製品に添付し識別する。

3. 確認手法の妥当性の分析
 日本海事協会において、入手したデータベースを分析し、どの様な部位にアスベストの含有可能性のある部品が使用されるか精密な分析を行い、確認手法の妥当性を検証するとともに検査の省力化に繋げる。

研究成果報告書

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