その他研究開発(共同研究等)

次世代塗装システムの調査研究開発

研究実施期間:2011年06月14日 ~ 2013年03月31日

共同研究者

財団法人日本船舶技術研究協会
独立行政法人海上技術安全研究所
中国塗料株式会社

研究の概要

 IMOの塗装基準(PSPC)は、500GT以上の全ての船種を対象として、そのバラストタンクの塗装にエポキシ樹脂塗料を使用することを基本とした高度な仕様の要件を課している。一方、PSPCでは代替塗装システムについてもPSPCの要求基準を満足すればこれを認めることとしており、エポキシ系塗装システム以外の塗装システムの採用に道を残している。有機系エポキシ塗料は、塗膜と鋼板面の遮断(バリヤー)効果を利用した防食技術であり、2回塗り(公称乾燥膜厚320μm)が原則になる。
 これに代わる防食技術としては電気防食がある。電気防食には、外部電源方式と犠牲陽極方式があるが、船舶では簡便な後者が採用されており、無機ジンク塗料を鋼板に塗布して鉄と亜鉛の電位差により防食効果を得る方法である。わが国では、第三世代のジンクシリケート系ショッププライマーが開発され、本塗装前の2次表面処理で健全なショッププライマーは除去しないで、その上から塗装する方法を採用しており、ショッププライマーを70%除去した上で塗装する欧米の方式とは異なっている。従来のショッププライマーの上へ無機ジンク塗料を塗布することは不可能であるが、PSPCに挙げられているジンクシリケートベースのショッププライマー上への塗装は可能である。
 無機ジンク塗料による防食は塗装方法等の難易度は高いが、水系化、単膜化(膜厚100~150μm)の可能性があり造船塗装の防食性向上、VOC対策、安全性向上、作業環境の改善と工数低減に寄与できると考えられる。
 本調査研究は、PSPCの代替塗装システムとしての適用可能な次世代塗装システムである水系無機ジンク塗料による防食技術の開発を行うことを目的とする。

1. 水系無機ジンク塗装システムの研究開発
 PSPCに規定するエポキシ系塗装システムの代替塗装システムとして適用可能な、水系化、単膜化の可能性があり造船塗装の防食性向上、VOC対策、安全性向上、作業環境の改善と工数低減に寄与できるバラストタンク用の水系無機ジンク塗装システムの研究開発を行う。また、模擬ブロック塗装により作業性等を確認し実用化を図る。

2. 水系無機ジンク塗装システムのバラスト水処理剤に対する耐久性に関する調査研究
 バラスト水処理剤(過酸化水素水、オゾン、次亜塩素酸ナトリウム等)の水系無機ジンク塗装への影響について評価試験等を行い、塗装の耐久性を明らかにする。

研究成果報告書

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