その他研究開発(共同研究等)

実海域におけるホイッピングを考慮した船体構造応答及び貨物固縛応答に関する調査研究

研究実施期間:2012年01月31日 ~ 2013年04月30日

共同研究者

株式会社MTI
日本郵船株式会社
株式会社三井造船昭島研究所
国立大学法人東京大学

研究の概要

 流力弾性応力による重畳応力が船体構造に損傷を引き起こす危険性が指摘されている。特に、荒天時にスラミングのような衝撃的な波浪外力を受け、それによりホイッピングが生じる際に、合成応力が縦曲げ最終強度を上回る可能性がある。
 一方、船舶の貨物輸送の観点からも、従来の貨物固縛マニュアルで想定している船体の剛体運動による加速度に加えて、ホイッピングにより船体運動に比べて高周期の加速度が重畳され、貨物にかかる加速度が上限を上回る可能性がある。
 しかし、現状ではホイッピングの発生確率や発生条件および船体応答の大きさ等を適切に評価する手法が確立されていないという問題がある。波との出会い条件、船速との関係などの整理、バルカーなど他の船種での状況など、知見が得られていない点も多く、船体動揺が貨物や貨物固縛資材に与える影響についてもデータが得られていない。
 これらの背景を踏まえ、本研究では各種船種での実船計測に基づくホイッピング発生確率および発生条件の調査を行い、現在運航している船体及び貨物の安全性へのホイッピング影響を検証することを主たる目的とする。
 このため、自動車船、コンテナ船、バルクキャリアー、VLCC、LNG船の各船種1隻を計測対象船として、加速度・動揺、船速等の計測を行う。コンテナ船については、ホイッピングの船体の伝搬の様子を計測する。計測時の本船付近の海気象条件(特に波浪)を知るため、海気象の予報値ないし再解析値のうち時間的・空間的に近傍のデータをリンクし、また、搭載可能な船については波浪観測用のビデオカメラを設置し、海気象条件の確認を行う。
 さらに、計測船の波浪中の船体運動に関する応答関数を構築し、波浪中の船体運動推定と実際のホイッピング発生条件の一致について確認を行う。また、貨物の固縛に関する調査のため、自動車船ではラッシング資材にかかる荷重計測及び振動台を利用しての陸上試験を行い、コンテナ船については、コンテナスタックの荒天時の挙動のシミュレーション計算を行い、大動揺やホイッピング時の影響を検証する。

研究成果報告書

その他研究開発(共同研究等)に戻る