その他研究開発(共同研究等)

造船設計における上流3D-CADと下流3D-CADの船殻システムデータ連携に関する共同研究

研究実施期間:2012年01月01日 ~ 2013年06月30日

共同研究者

三菱重工業株式会社
株式会社大島造船所
常石造船株式会社
株式会社エス・イー・エー創研
株式会社CIMクリエーション

研究の概要

 ベテラン生産設計者の減少に伴い、従来の一品2次元現図から生産設計ステージを中心とした3次元化へと、ここ数年の間に造船設計の3次元化は拡がっており、今や下流設計の3次元化は当たり前のものになりつつある。一方、基本設計を中心とする上流設計ステージにおいても3次元設計が進みつつある。このような状況の中で、デザインスパイラルを主目的とする上流設計から現業の生産性向上を目的とする下流設計までを一つの3D-CADの機能でカバーすることは現実的ではなく、それぞれ異なる3D-CADを使用している造船所が多い。当然、上流と下流の3D-CADのデータ連係のニーズはあるものの、上流から下流への情報伝達に加え、狭隘部の交通性や作業性などを検討した下流工程情報のフィードバックが必要となり、双方向のデータ連係が必須である。しかし、これらを満足させるシステムの開発は極めて困難であり、手が付けられていないのが現状である。
 一部の造船所で上流設計の3次元化を実船で検証したところ、かなりの範囲で基本設計段階において従来は下流設計工程で行っていた狭隘部の交通性や作業性が検討でき、ある程度の高精度基本設計が可能であることが確認できた。そうなると、データ連係は、上流から下流への一方向のみでも実用性がある事がわかり、システム開発もそれ程煩雑でなくなる可能性が出てきた。
 上記の状況を鑑み、昨年度の開発研究「造船設計における上流3D-CADと下流3D-CADの艤装システムデータ連係に関する研究開発」において、艤装の上流設計と下流設計の3D-CADのそれぞれ異なるデータ様式の連係システムの開発を実施した。
 この開発研究において艤装については、インターフェイスプログラムの開発を行いデータ連係の仕組みを構築、実運用へ向けた業務フローの検討に着手し整備を図っている。船殻については艤装に比べ3D-CADの開発思想の差が大きく、形状に特化したデータ連係以外は困難とされてきたことからフィジビリティスタディを実施。技術的な課題の抽出と解決方法について議論を重ね開発目標の範囲と方針を明白にしたのちに、システム開発費用の精査を行った。
 この結果を用いて、本開発研究において船殻システムについてデータ連係を可能とする仕組みの検討およびインターフェイスプログラムを開発することにより、効率よく上流から下流までの造船設計の3次元化を実現できるシステムの構築に向けた研究開発を行うものとする。なお、取り扱うデータ連係対象3D-CADは、上流設計はNUPAS-CADMATIC、下流設計はMATESの各システムに限定する。

1. 船殻システムのデータ連係に関するシステム開発

2. データ連係を視野に入れた上流~下流までの設計フローのまとめ

3. 成果物の配布

研究成果報告書

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