液化水素輸送船の安全性評価に関する研究開発
研究実施期間:2011年10月01日 ~ 2013年09月30日
共同研究者
川崎重工業株式会社
岩谷産業株式会社
川崎汽船株式会社
研究の概要
地球温暖化の問題が広く知られるようになるにつれ、世界的に低炭素社会への移行が急務となっており、2007年のIPCC第4次評価報告書に基づき、2008年の洞爺湖サミットにおいて、先進国では2050年時点で1990年比80%減の目標が掲げられることとなった。この目標を達成するためには、エネルギーの多くを化石燃料から転換することが必要であり、その中でCO2を排出しない自然エネルギー由来、あるいは、CO2を回収・貯留したいわゆるCO2フリー水素の導入が望まれる。
川崎重工業では、海外の未利用資源国等にて低コストで水素を製造し、液化等最適な方法で、日本国内あるいはその他へ輸送して利用する水素チェーン構想を提案し、その実現に向けて技術開発を実施している。
上記水素チェーン実現のためには、水素の海上輸送が必須となるが、現在は、液化水素を輸送する規程がなく、技術開発同様、安全性評価並びに規格化が非常に重要となる。
本事業では、極低温、極低粘度の液化水素を効率的、安全に輸送する液化水素輸送船のリスク評価、安全性評価に関する研究を行い、世界に先駆けて液化水素輸送にかかる規格の策定を進める。
具体的には、既に安全性評価基準が作成されているLNGより低温、低密度の液化水素を安全に海上輸送するために必要な要件について検討する。
1. 調査研究
国内外の液化水素関連の事故調査を行う。
2. 事故想定とリスク評価
IGCコードに基づいた液化水素輸送船の初期システム設計を行う。また、液化水素輸送船のリスク評価と事故シナリオの抽出を実施する。そして、想定事故に対する安全対策を検討する。
3. 水素漏洩シミュレーション(CFD解析)
液化水素、水素ガスの漏洩・流出が想定される個所について、漏洩状態のシミュレーションを実施するための解析モデルを構築する。
4. 液化水素流出に関する要素試験
液化水素が漏洩した場合の蒸発拡散現象・爆発範囲等を調査する。