その他研究開発(共同研究等)

二相ステンレス鋼のケミカルタンカー実船適用に向けた設計・施工に関する研究開発

研究実施期間:2013年01月01日 ~ 2014年05月31日

共同研究者

株式会社臼杵造船所
JFEスチール株式会社
新日鐵住金ステンレス株式会社
株式会社タセト

研究の概要

 ケミカルタンカーは、寄港するターミナルの大きさの制約等の理由により載貨重量が5,000トンから40,000トン程度の大きさで、他のタンカーの平均的な大きさよりかなり小さなものとなっている。
 就航しているケミカルタンカーのほとんどは、日本・韓国・中国の造船所で建造されているが、その中でも韓国・中国で建造されるケミカルタンカーの大多数が特殊塗装タンク仕様である。
 ケミカルタンカーのサイズが小さいこともあって大型造船所での建造は採算ベースに合わず、日本では、中小造船所の主力商品となっている。仕様としては、カーゴタンク構造にSUS316 LN-315Mソリッド鋼(以下、SUSソリッド鋼と称す)とSUS316L クラッド鋼(以下、SUSクラッド鋼と称す)を採用しており、性能・品質の高さを誇っている。
 その他の建造国としてはトルコ・イタリア・ポーランドがあるが、日本以外ではSUSクラッド鋼の製造が行われていないことと、欧州では二相ステンレス鋼(SUS329 J3L)(以下、Duplex鋼と称す)が入手しやすいこともあって、Duplex鋼をベースとしたケミカルタンカーが建造されている。
 欧州の船主から日本の造船所に対してもDuplex鋼を使ったケミカルタンカーの建造打診があるが、日本ではDuplex鋼を採用したケミカルタンカーの建造実績もなく、また建造する場合、材料・溶接関連規則をのぞきNK船級規則も整備されていないため、その引き合いに対してDuplex鋼での建造を断らざるをえない状況にある。
 Duplex鋼のケミカルタンカー実船適用に向けて、Duplex鋼の溶接に関する実用化に向けた調査研究に留まらず、実船建造を行うにあたって必要な設計基準・施工基準・詳細強度確認を行い、これらの結果をNK規則に織り込む事により、日本でもDuplex鋼を適用したケミカルタンカー建造を可能にし、その結果、日本の中小造船所の競争力向上と他国造船業との差別化を達成することができる。Duplex鋼を適用したケミカルタンカーの実船建造における設計・建造上の技術的な問題点を解決するために、以下に示す試験・研究を実施する。

1. 疲労試験
2. 二軸疲労試験
3. 完全溶込みT継手強度確認試験
4. ハイテン係数検討のための高温引張試験
5. 腐食試験
6. 過剰入熱影響度確認試験
7. 異材完全溶込みT継手初層溶接高温割れ確認試験
8. ショートビード最高硬さ試験

研究成果報告書

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