その他研究開発(共同研究等)

「実海域におけるホイッピングを考慮した船体構造応答及び疲労強度評価」に関する調査研究

研究実施期間:2013年11月01日 ~ 2015年01月31日

共同研究者

株式会社MTI
日本郵船株式会社
株式会社三井造船昭島研究所
国立大学法人東京大学

研究の概要

 近年、流力弾性応力による重畳応力が船体構造に損傷を引き起こす危険性が指摘されている。特に、荒天時にスラミングのような衝撃的な波浪外力を受け、それによりホイッピングが生じる際に、合成応力が縦曲げ最終強度を上回る可能性がある。平成24年2月から平成25年4月まで実施した『実海域におけるホイッピングを考慮した船体構造応答及び貨物固縛応答に関する調査研究』で、複数種類の船種において実船の加速度計測を実施し、各船種で実海域でのホイッピング現象を確認することができた。これにより、従来の歪ゲージによる計測の代替手法として、簡易な加速度計測によってホイッピング現象を捉えることが可能であることが分かった。また、新たに明らかになった課題として、弾性振動の伝播と減衰が加速度の計測値に影響をおよぼす可能性があることが分かった。
 本研究では、既に搭載している計測機器に加えて、異なる箇所に計測機器を追設し、計測を行う。複数箇所での実船計測と並行して、ホイッピング発生時の弾性振動の伝播シミュレーションを実施し、計測箇所と計測データの相関について把握することで、最適な計測方法を確立すると同時に、計測データからホイッピング現象を抽出する手法についても検討を行う。また、複数の手法で船体運動シミュレーションを実施し、計算手法による差を把握すると同時に、実船計測データとの比較を行う。これにより、遭遇海気象から船体運動およびホイッピング発生確率の予測が可能となる。
 実船計測データ解析とシミュレーションで得られた知見を用いて、船体への累積加速度、累積応力から船体外力履歴プロファイルを作成し、船体疲労強度評価手法について検討を行う。 1. 以下の5船種の実船において、1年間、加速度・動揺、船速等の計測を行う。

 1-1. バルカー(大型)
 1-2. タンカー(VLCC)
 1-3. LNG船
 1-4. コンテナ船(6500TEU)
 1-5. 自動車船

2. 加速度計によるホイッピング計測、及び解析手法を確立する。
 2-1. ホイッピング発生判断基準の策定を行う。
 2-2. 複数箇所での計測を行う。
 2-3. ホイッピングによる弾性振動の船体長手方向、居住区への振動伝播を計算により把握する。

3. 累積加速度/累積応力により、船体外力履歴プロファイルへと繋げる。
 3-1. 剛体モードのシミュレーションにより、船体縦曲モーメントから応力を推定する。
 3-2. 船舶状態評価手法を提案する。

4. 船体運動予測プログラム(線形ストリップ法/剛体モード非線形ストリップ法/弾性体モード非線形ストリップ法)と実船計測データとの比較を行い、船体動揺およびホイッピング発生予測手法を確立する。

研究成果報告書

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