その他研究開発(共同研究等)

クラウドを利用した検査情報共有による検査業務の効率化に関する研究

研究実施期間:2014年03月01日 ~ 2015年02月28日

共同研究者

株式会社名村造船所
名村情報システム株式会社
株式会社エスエス・テクノロジー

研究の概要

 2010年代に入り、タブレット端末やスマートフォンなどの新しいIT機器(以下、モバイル機器と呼称)が急速に普及してきた。これらのモバイル機器は、パソコンや携帯電話など従来のIT機器と比べ、機動的な情報活用の柔軟性や拡張性が非常に優れている。モバイル機器を活用することでコミュニケーションがより活性化され、業務の流れやワークスタイルが刷新されることにより、業務効率改善効果も期待できる。携帯電話通信網はLTE(Long Term Evolution)が普及してきており、広大なヤードで通信設備を自前で準備しなくとも、快適な通信速度でモバイル機器の利用が可能となってきている。
 造船業の製造検査業務は、検査時に必要な承認図、ヤード図、記録用紙、デジタルカメラ等の大量の情報媒体を現場に持参し、現場で紙に記録を行い、必要に応じてデジタルカメラでの撮影し、その後席に戻り記録を電子化する手順で行われている。情報資産が多大にあるため、必要な情報を正確かつスピーディーに確認することが求められる。
 モバイル機器を活用し、広いヤードのどこでも検査に必要な情報にアクセスでき、検査予定の更新や検査結果の記録を行えるようにすることで、造船検査のワークスタイル革新を進め、品質管理の精度向上を図る。具体的には、検査スケジュールシステム、検査業務に必要な図面情報を必要な時に参照できるシステム、検査記録を製造現場でスムーズに記録できるシステムについて構築する。これらを運用していくことで、検査情報のデータを蓄積し、検査精度を向上させ、製造現場へのフィードバックをスピーディーに行うことで、不具合の削減と重大不具合の撲滅を図る。
1. 検査スケジュールシステムの構築
造船検査では、製造スケジュールに基づいて検査予定が組まれているが、天候や工事進捗により前後する検査スケジュールを共有することで、製造現場、検査部門、船級協会、船主監督間での調整・手待ち時間を減少させることができる。
2. 検査コメントシステムの構築
モバイル機器を利用して、検査記録を現場入力することにより、入力情報の精度向上を進め、記録写真への後日書き込みによる認識違いの減少などの効果も期待される。さらに、コメント対応状況が付記された検査記録や証明書を図面と一元管理する仕組みを構築して検査現場でのスピーディーな情報閲覧を可能とする。
3, 証明書管理システムの構築
検査時に必要な図面やメーカー証明書を電子共有化することで必要なものをどこでも即時参照可能とする。

研究成果報告書

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