耐熱無線通信タグ(溶融亜鉛めっき適用可)研究開発
研究実施期間:2010年04月30日 ~ 2010年11月30日
共同研究者
株式会社新来島どっく
研究の概要
船舶のパイプは、1隻でおよそ6,000~10,000本にもおよび、その半数が防食を目的に溶融亜鉛めっき処理される。
亜鉛めっき処理されたパイプは、印字やバーコードによる判別が不可能となるため、部品名が不明となり作業者が寸法などを手がかりに手作業で仕分けする必要がある。
この作業が煩雑なこと、仕分けに広い作業場所が必要なこと、人為的なミスが発生することが建造作業の効率化の妨げとなっている。
一方で、近年ではID情報を埋め込んだ無線通信型の識別タグ(RFID)が開発され、身近な分野でも利用されている。特に製造業においては、自動車や電化製品の製造分野において、部品・製品の管理や工場内の物流管理に利用されている。
RFIDは非接触型の読取であるため、バーコードと違い埃や汚れの多い環境に強く、また正確な位置決めを必要としないため作業の効率が高く、利用が急速に進んでいる。
2010年現在、よく利用されている普及品のRFIDは、大気中で200℃程度の耐熱性を仕様としているものであり、そのままでは溶融亜鉛めっき(亜鉛溶解450℃)の環境には適用できない。
そのため、株式会社新来島どっくでは、特にパイプの識別にRFIDを用いることで船舶建造作業の効率化を達成するために、溶融亜鉛めっき下においても使用可能な耐熱性を持ったRFIDの開発を目指してきた。
めっき工場の協力で行なった溶融亜鉛めっき実験下では高温状態に絶える試作品が完成している。
しかし、運搬や取付け中の衝撃、取付け方法、費用対効果からのコスト算出といった、今後解決しなければならない課題も多い。
本研究では、溶融亜鉛めっき下においても使用可能な耐熱性を持ち、かつ船舶の建造現場へ適用可能な作業性と耐久性の高いRFIDを開発することを目的とする。
1. RFIDの開発
溶融亜鉛めっきに耐えうる耐熱性の高いRFIDを開発する。
2. 実証試験の実施
開発したRFIDを用いて、溶融亜鉛めっき並びに船舶建造現場においての実証試験を実施する。建造船の機関室の一区画(1デッキ)を対象とする。
3. 費用対効果の検証
試作品の費用対効果を検証する。