その他研究開発(共同研究等)

エンジン認証技術の確立に係るSCR脱硝装置からのリークアンモニアに関する調査研究

研究実施期間:2011年06月22日 ~ 2012年05月31日

共同研究者

三菱重工業株式会社
堺化学工業株式会社

研究の概要

 マルポール条約附属書VI(大気汚染規制)の改正により、2016年から1次規制値より80%低減するNOx3次規制が導入される予定である。 この厳しい規制に対応するため、「スーパークリーンマリンディーゼルの研究開発」をはじめ、各種の技術開発がエンジンメーカーや研究機関において進められているおり、エンジンにSCR(選択触媒還元)脱硝装置を装備することがNOx放出量を削減する最も有効な方法として検討されている。
 SCR脱硝装置が装備されたエンジンの認証方法については、NOxテクニカルコードや現在策定作業が進められているガイドラインに基づいて実施する必要があり、3次規制導入時期の議論(2012~2013年)に先行して、日本の素案をたたき台として議論が進められている。 現在のガイドライン案におけるアンモニア対策については、「過剰な量の還元剤が供給されるのを回避し還元剤スリップを防止する手段が提供されること」とされており、認証の際に具体的にどのように確認すべきか明確にされていないところである。
 一方で、国際航海船舶に搭載される低速ディーゼル機関は、SCR脱硝装置入口のNOx濃度が1,000ppm程度と高レベルであるため、国内の条例等のリークアンモニア規制値(5~10ppm)に抑制するには、アンモニア/NOxモル比と脱硝率の差を、1/200~1/100に制御する必要があるが、この制御は極めて困難である。また、実際に計測をすると50ppmを超える高濃度のリークアンモニアが確認されることがあるが、ほとんどアンモニア臭は感知されない。 リークアンモニア濃度には、人体に有害な未反応アンモニアの他に、排ガス中のアルカリ金属や煤等がアンモニアと反応して生成されたアンモニア化合物も併せて計測されているのではないかとの疑念がある。
 このため、2012~2013年の3次規制導入時期の議論に向けて、SCR脱硝装置のアンモニア対策の評価手法を検討し、純粋な未反応アンモニアの計測方法を確立することにより、SCR脱硝装置が装備されたエンジンの認証技術の確立に寄与することで、当該ガイドラインの実用性の向上を図る。
 低硫黄(S分0.1%以下)重油焚低速ディーゼル機関用SCR脱硝装置の認証方法に不可欠となるリークアンモニアの実態を把握するため、ディーゼル発電設備から得た実排ガスから生成した模擬ガスで計測を実施し、船舶の運航パターンを再現し、触媒の加熱再生利用におけるリークアンモニアの把握と抑制手段の評価・検討を行うための試験を実施する。 また、「スーパークリーンマリンディーゼルの研究開発」事業で実施予定のSCR脱硝装置実船試験においても、リークアンモニアにかかる評価を行う。

研究成果報告書

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