その他研究開発(共同研究等)

SCR装置が装備されたエンジンの認証技術の確立に関する調査研究

研究実施期間:2010年12月06日 ~ 2013年03月31日

共同研究者

社団法人日本舶用工業会

研究の概要

 マルポール条約附属書VI(大気汚染規制)の改正により、2016年からNOx3次規制が導入される予定である。この厳しい規制に対応するため、各種の技術開発がエンジンメーカーや研究機関において進められており、今のところNOx放出量を削減する具体的な方法として、エンジンにSCR(選択触媒還元)装置を装備することが想定されている。
 このSCR装置が装備されたエンジンの認証方法については、NOxテクニカルコード及び現在、策定作業が進められているガイドラインに基づいて実施する必要があり、3次規制導入時期の議論(2012~2013年)に先行して、ガイドラインについて日本の素案をたたき台として議論が続けられている。
 ガイドラインの議論において、日本はSCR装置に特化した認証方法として「スキームB」と呼ばれる認証方法を提示している。これは、これまで原則とされてきたスキームAと呼ばれるエンジンとSCR装置を一体としてNOx放出量を計測する方法とは異なり、エンジンとSCR装置についてそれぞれNOx放出量とNOx低減率を計測し、全体のNOx放出量を算出する方法である。スキームBの導入はSCR装置の認証に係るコストを押さえた合理的な方法として特にエンジンメーカーからその必要性が示されている一方、十分に信頼できる認証方法であることを説明する材料が不足しており、MEPCやBLGにおける議論において、技術面からの理解が得られていない状況にある。また、スキームBはSCR装置の再認証においてデータ活用の可能性があり、利便性が高く導入すべきものであることを各国及び関係機関にアピールすることも必要である。
 遅くとも2012年の3次規制導入時期の議論までにはガイドラインの策定が必要不可欠であるため、MEPCやBLGにおける技術的な議論及び円滑な認証の実施に資するべく、本研究においてSCR装置が装備されたエンジンの認証技術の確立に取り組む。

1. 認証精度確認
 複数のディーゼルエンジン(4ストローク・2ストローク)とSCR装置において、スキームA(一体計測)とスキームB(分離計測)を想定して、計測方法による精度の差が生じないことを確認する。SCRの触媒と同質で小型のものを、模擬ガス・マイクロリアクターを用いてNOx低減率を計測・算出する。スキームAおよびスキームBによるNOx低減率を比較して精度を確認する。

2. 認証方法検討
 現在の認証ガイドラインには、認証に用いるべき模擬ガス成分の決定方法や環境条件の影響を考慮することとされているが、具体的な方法は明記されていない。このため、実際にNOxテクニカルコードに従ったNOx放出量の計測を行うとともに、模擬ガスの作成や認証に用いる望ましい触媒の大きさを把握するため、様々な計測を試行し、ガイドラインの実用性の向上を図る。

3. SCR装置の再認証検討
 過去に認証され使用されているSCR装置を異なる船舶に設置する場合に、過去に計測したデータが活用可能であれば、より合理的な認証となる。このため、継続的な運転が過去の認証データに及ぼす影響を調査し、おおむね1,000時間以上の連続運転を実施し、再計測の必要性や過去のデータの活用の可能性について検証する。

研究成果報告書

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