その他研究開発(共同研究等)

船舶主機排熱利用VPC 電力回収システムの開発

研究実施期間:2011年07月01日 ~ 2013年03月31日

共同研究者

三井造船株式会社

研究の概要

 外航船舶用主機の主流である大型低速ディーゼル機関では、シリンダ最高圧の高圧化、静圧過給化、ロングストローク化、掃気流れの改良などにより熱効率を高めてきており、定格出力において最高約51%まで達している。しかし、もはや熱効率向上の余地は少なく、その開発スピードは鈍っている。そこで、舶用ディーゼル機関のCO2削減方法の一つとして、投入燃料発熱量の約25%を占める排気エネルギーの有効活用(排熱回収)が注目されているが、さらに投入燃料発熱量の約20%を占める機関冷却水および空気冷却器の排熱を利用することにより一層のエネルギーの回収が可能である。
 本開発では、機関冷却水およびインタークーラーの排熱を利用し、低沸点媒体を気化させることでタービンを駆動させ、エネルギーを回収するシステムであるORC(低温排熱回収システム, Organic Rankine Cycle)システムに着目し、船舶への搭載のための機器開発および実船テストを行う。テストでは、VPC(中低温排熱回収システム, Variable Phase Cycle)を活用したORC発電装置を船舶へ搭載する。VPCとは、VPT(軸流衝動タービン, Variable Phase Turbine)に低沸点媒体を利用することにより中低温排熱を効果的に蒸気発電するシステムであり、従来型のORCに比べて高出力化ならびにコンパクト化が可能である。
 機関出力7,000~10,000kWクラスの主機を対象とし、機器開発及び実船試験を次のとおり行う。

1. 10kWおよび200kW級のプロトタイプ機の開発

2. 10kW級プロトタイプ機を東京海洋大学の実習船「汐路丸」へ搭載し、本船環境における性能確認、課題抽出と対応検討を行う。

3. 200kW級プロトタイプ機を三井のテストエンジン4S50ME-Tに装備し、陸上運転による機能検証を行い、実船搭載への課題を抽出する。

4. 本船搭載のため、鋼船規則の関連要件等、設置基準の調査検討を行う。

研究成果報告書

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