疲労強度に及ぼす板厚効果に関する研究開発
研究実施期間:2010年09月01日 ~ 2013年09月30日
共同研究者
社団法人日本造船工業会
株式会社IHI
株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド
株式会社大島造船所
川崎重工業株式会社
佐世保重工業株式会社
株式会社サノヤス・ヒシノ明昌
住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
株式会社名村造船所
三井造船株式会社
三菱重工業株式会社
ユニバーサル造船株式会社
新日本製鐵株式会社
JFEスチール株式会社
住友金属工業株式会社
株式会社神戸製鋼所
独立行政法人海上技術安全研究所
研究の概要
板厚が厚くなるにしたがって疲労強度が低下することは、板厚効果として知られている。その一方で、板厚効果に及ぼす継手形式・荷重モードの影響や、板厚効果が発生する原因の特定と理論的な推定法については、十分な知見が得られていないのが現状である。こうした中、共通構造規則(CSR)では一律1/4乗則が義務付けられるなど、板厚効果を必要以上に安全側で評価する傾向が見受けられる。また、コンテナ船などでますます厚板化が進んでおり、合理的かつ適切に厚板での疲労強度を確保することは以前に増して重要である。
本事業では、合理的な板厚効果推定算式を確立し、国際的な基準の改正と合理的な設計に資するため、以下の研究を行う。
1. 基礎試験
板厚の変化にともなう溶接止端近傍の応力勾配の違いの影響を明らかにするために実施する。疲労強度に及ぼす要因を板厚と止端形状に起因する要因に限定するため、十字隅肉溶接継手断面形状を模擬した試験片を板から切り抜くことで作成する。また、このような試験片を用いることで、実験条件と解析条件を一致させた解析評価を実施する。
2. 継手試験
十字継手とガセット継手における板厚影響ならびに平均応力として作用する溶接残留応力の影響を明らかにするために実施する。溶接継手として最も基本的な十字隅肉溶接継手と面外ガセット溶接継手を評価対象とする。また、溶接残留応力の疲労強度への影響を確認するために、十字隅肉溶接継手に対して溶接残留応力除去を行った試験片と溶接のままの試験片を準備して実験する。
3. 構造物試験
荷重伝達形式の違いを明らかにし、大型構造物の溶接部における板厚影響を確認するために実施する。十字隅肉溶接を有するL型構造体と、面外ガセット溶接継手を有するI型断面梁構造体の2種類の試験体について、実験するとともに解析評価を行う。