その他研究開発(共同研究等)

半導体リモートレーザ溶接装置とホットワイヤとを組合せた新溶接法の開発

研究実施期間:2012年10月01日 ~ 2014年03月31日

共同研究者

国立大学法人広島大学
学校法人長崎総合科学大学
三菱重工業株式会社
新日鐵住金株式会社
バブ日立工業株式会社

研究の概要

 日本の造船所では、大型コンテナ船等に使用される極厚鋼板の接合に、高能率なエレクトロガス溶接が適用されている。エレクトロガス溶接法は、1パス立向きの高能率自動溶接法であるが、大入熱溶接のため溶接継手部の破壊靭性確保が重要な課題となっている。これまでは、日本の製鐵および溶材メーカー等の先端技術を駆使して溶接部靭性を確保してきたが、今後更なる高張力化に向けた材料側の対応は非常に困難になることが予想される。したがって、現在適用されているエレクトロガス溶接に比べて大幅に入熱を低減できる新しい溶接・施工技術の開発が求められている。
 一方、中厚板のすみ肉溶接部や突合わせ溶接部には、レーザ単独溶接やレーザ・アークハイブリッド溶接の適用が検討されており、一部適用され始めている。一般的なレーザ溶接は、レーザ光をレンズによって極力絞ってキーホールを発生させ、1パス深溶込みで幅の狭い溶接部を形成する。したがって、対象材料が厚板になると非常に高価な大出力レーザ発信器が必要になり、ギャップ裕度は非常に小さいため、開先加工精度や施工精度などの制約から、その適用範囲は限定されてしまう。
 本研究では、高出力半導体レーザによるレーザビーム形状制御およびリモートレーザヘッドを応用した開先内超高速レーザ光ウィービングによる高裕度・高精度入熱制御と、入熱低減・高能率溶接技術として実績のあるホットワイヤとを組み合わせた、ホットワイヤ・レーザ溶接法による低入熱極厚鋼板立向き溶接技術の開発を検討する。既存のエレクトロガス溶接の現状を踏まえ、以下の大きな目標を掲げている。

1. エレクトロガス溶接に比べて大幅な入熱低減
2. エレクトロガス溶接に比べて同等以上の施工能率
3. エレクトロガス溶接に比べて大幅な母材溶融量(希釈)低減
4. エレクトロガス溶接と同等以上の開先加工裕度や施工裕度
5. 造船所建造現場での長時間・長期適用可能なレーザ溶接システムの開発

 上記の高出力半導体レーザおよびリモートレーザヘッドを用いた基礎実験および継手特性の把握を行い、提案するレーザ溶接プロセスの根幹を成すレーザビーム制御およびホットワイヤ挿入制御による革新的な溶接プロセスの調査・解明を行う。当該基礎実験結果を基に、目標に掲げている施工能率・施工裕度・継手特性を満足する、本プロセスの特徴を活かした施工条件の導出を行う。
 具体的には、6kWレーザを用いて前述の効果の確認に加え、溶接部組織、機械的性質などを調査する。

研究成果報告書

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