その他研究開発(共同研究等)

原油随伴ガスから水素及び炭酸ガスを製造/出荷するFPSOの検討

研究実施期間:2013年05月01日 ~ 2014年07月31日

共同研究者

三菱重工業株式会社
千代田化工建設株式会社

研究の概要

 中東産油国では、自然衰退した油田の増進回収法としてCO2-EOR(Enhanced Oil Recovery:炭酸ガスを用いた石油の三次回収)が真剣に検討されている。圧入した炭酸ガスを石油に溶解させて流動性を高め、油層中に残留した原油を回収する方法である。炭酸ガスのソースとしては、発電所の燃焼排ガスや天然ガス液化プラントが検討されているが、油田から離れている場合には長距離のパイプラインの敷設が必要となる。例えば、UAE(アラブ首長国連邦)では、CO2-EORに適した海上油田が数多くあるが、炭酸ガスの供給先が確定せず、いまだ商業規模でのCO2-EORは実施されていない。
 そこで、燃料ガス・LNGプラントの原料ガス・増進回収用の圧入ガス(炭酸ガスよりも効果は低い)として利用されている、石油生産に伴い産出する随伴ガスに着目した。これを洋上にて水蒸気改質して炭酸ガスを生産し、CO2-EORに利用することを提案した。一方、水蒸気改質により同時に製造される水素は、炭酸ガスと分離した後、有機ケミカルハイドライド法により日本に輸送し、次世代燃料として利用することを計画している。
 有機ケミカルハイドライド法は、トルエンなどの芳香族化合物の水素化反応により、メチルシクロヘキサン(MCH)などの環式有機化合物として水素を固定し、常温・常圧の液体状態で貯蔵輸送を行い、脱水素反応で水素を取り出して利用する方法である。既存のタンク・タンカーが利用できるので、液化や高圧ガスでの輸送方法と比べて、特に長距離/長時間の大量貯蔵・輸送に有効な方法である。CO2排出を削減する究極の燃料として、今後の日本国内で需要が高まると予測される水素を、海外から調達する際の有力な方法として期待される。
 本研究では、随伴ガスからの水素・炭酸ガス製造プラント、トルエンへの水添プラントの設計結果に基づき、必要なユーティリティー設備、貯蔵・出荷設備を設計し、技術検証を行い、FPSO(洋上浮体施設)としてAIP(設計基本承認)を取得可能なレベルまでの書類を作成すると共に、FPSO事業としての経済性を検証することを目的とする。

1. トップサイドプラント検討

2. FPSO浮体構造物検討

3. 設備の安全性・信頼性の検証

4. 事業化の検討

5. 評価

研究成果報告書

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