その他研究開発(共同研究等)

無機ジンク塗装システムの評価試験法の研究開発

研究実施期間:2013年09月01日 ~ 2015年03月31日

共同研究者

一般財団法人日本船舶技術研究協会
独立行政法人海上技術安全研究所
中国塗料株式会社

研究の概要

 IMOの塗装基準(PSPC)は500GT以上の全ての船種を対象として、そのバラストタンクの塗装にエポキシ樹脂塗料を使用することを基本とした高度な仕様の要件を課している。一方、PSPCでは代替塗装システムについてもPSPCの要求水準を満足すればこれを認めることとしており、エポキシ塗装システム以外の塗装システムの採用に道を残している。有機系エポキシ塗料は、塗膜と鋼板面の遮断(バリアー)効果を利用した防食技術であり、2回塗り(公称乾燥膜厚320μm)が原則となる。これに代わる防食技術としては電気防食がある。電気防食には外部電源方式と犠牲陽極方式があるが船舶では簡便な後者が採用されており、無機ジンク塗料を鋼板に塗布して鉄と亜鉛の電位差による防食を行なう方法がその一つである。わが国では第三世代のジンクシリケート系ショッププライマーが開発され、本塗装前の二次表面処理において健全なショッププライマーは除去せず、その上から塗装する方法を採用しており、これはショッププライマーを70%除去した上で塗装する欧米方式とは異なっている。従来のショッププライマーの上へ無機ジンク塗料を塗布することは不可能であるが、PSPCに挙げられているジンクシリケートベースのショッププライマー上への塗装は可能である。
 電気防食塗膜である無機ジンク塗料は非常に有効な手段であり、環境負荷低減を考慮した水系タイプの開発を2011~2012年度に実施した研究開発において塗料開発における課題が明確になった。
 一方、現行のエポキシシステムを対象とした評価基準は、PSPCの代替システムとしての無機ジンク塗装システムには適していないため、評価法策定のための研究開発が重要な課題として残っており、無機ジンク塗料をPSPCの代替仕様とするには新たに評価方法、評価基準が必要であり確立を図る。また、バラストタンク用無機ジンク塗料のバラスト水処理剤に対する健全性・耐久性を明確にする。
1. 無機ジンク塗装システムに対する評価方法、評価基準の確立
 現行のPSPCルールでは犠牲防食作用を持つ無機ジンク塗料には適合しない評価基準があり、その性能を担保するためには新規の評価基準、評価委試験を策定する必要である。また、模擬ブロックにて耐久性を確認し実用化を図る。
2. 無機ジンク塗装システムのバラスト水処理剤に対する耐久性に関する調査研究
 バラスト水処理剤(オゾン、次亜塩素酸ナトリウム等)の低VOC無機ジンク塗装への影響について評価試験等を行い、塗装の耐久性を明らかにする。

研究成果報告書

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