シップリサイクル条約

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シップリサイクル条約とは

「2009年の船舶の安全かつ環境上適正な再生利用のための香港国際条約(通称シップリサイクル条約)」が2009年5月に採択されました。シップリサイクル条約の発効後は、500国際総トン以上の全ての船舶にインベントリ(船舶に存在する有害物質等の概算量と場所を記載した一覧表)の作成及び維持管理が義務付けられます。また、所管官庁により承認された船舶リサイクル施設でなければ船舶を解体・リサイクルすることができなくなります。
シップリサイクル条約は、以下の発効要件達成から24か月後に発効することになっています。

①15ヶ国以上が締結
②締結国の商船船腹量の合計が40%以上
③締結国の直近10年における最大年間解体船腹量の合計が締結国の商船船腹量の3%以上

2017年8月末時点の批准国はノルウェー、コンゴ共和国、フランス、ベルギー、パナマ及びデンマークの6ヶ国になりました。また、シップリサイクル条約を先取りしたEUによる域内規制が2013年12月に発効しており、今後も、欧州を中心にシップリサイクル条約の批准が進むと考えられています。

インベントリとは

インベントリとは、船上に存在する有害物質、廃棄物、貯蔵物の位置と概算量を記載した一覧表です。下記表の通り、インベントリ第1部を建造時に、第2部及び第3部を船舶のリサイクル時に作成する必要があります。ただし、条約発効前に建造契約が交わされた船舶(現存船)についてはインベントリ第1部を条約発効後5年以内に作成すればよいことになっています。船舶リサイクル施設では、このインベントリを参照し、労働者の安全衛生の確保及び環境汚染の防止に配慮したリサイクルが実施されることになります。

■インベントリの構成

  第I部 第II部 第III部
船舶の構造及び機器に含まれる有害物質 運航中に発生する廃棄物 貯蔵物
作成時期 建造時に作成
*現存船は発効後5年以内
リサイクルの直前までに完成
記載する
物質/物品

表A:禁止制限4物質
(アスベスト、PCB、オゾン層破壊物質、TBT類)

表B:有害9物質
(カドミウム、鉛、六価クロム、水銀等)
*現存船の場合、表B物質は可能な限り対応

表C:潜在的に有害な物質

ゴミ、ウエス等

表Cおよび表D:
潜在的に有害物質
を含む民生品

油類、ストア品等

IMOでは、2015年5月にインベントリの作成方法に関するガイドラインの改正を実施しております。本改正の内容を含む、シップリサイクル条約及びEU域内規制の詳細については以下の資料をご覧ください。
シップリサイクル規制の最新動向(2017年9月)

ClassNKでは、上記改正を反映した「船舶に搭載される有害物質一覧表に関するガイドライン Ver. 3.00」を2015年10月に発行しました。本ガイドラインは、本会ホームページにてマイページのユーザー登録をすることにより、マイページの「ガイドライン」のページでご覧いただけます。
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ClassNKの取り組み

船舶の一生にわたって対応が求められるシップリサイクル条約に対し、ClassNKは、関係者の皆様が、あらゆるフェーズにおいて条約にスムーズに対応できるよう以下のソリューションを提供しています。

現存船のインベントリ作成

シップリサイクル条約は、新船のみならず既に就航している現存船にも適用されます。現存船については、「専門家」と呼ばれる個人/組織が図面調査と訪船調査によってインベントリ第1部を作成することとが認められています。ClassNKの子会社である株式会社ClassNKコンサルティングサービスは「専門家」として船主の皆様からの依頼に応じて現存船のインベントリを作成しています。
株式会社ClassNKコンサルティングサービス

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新造船のインベントリ作成

新造船のインベントリは、供給者(舶用機器メーカー、部品メーカー、材料メーカー等)から提出される材料宣誓書(MD)及び供給者適合宣言(SDoC)をもとに、造船所において、IMOで定められた様式に従い、有害物質を含有する機器等の設置場所を記載して作成することとなります。その際、大量のMD及びSDoCの収集・管理が必要になり、多大な負担が発生します。ClassNKは、日本アイビーエム株式会社と共同でクラウド環境を活用したインベントリ作成・管理システム“PrimeShip-GREEN/SRM”を開発しました。造船所、舶用機器メーカー等のインベントリ作成に携わる関係者の皆様は、このシステムに登録することによって、インベントリ作成に必要な一連の事務作業をインターネット上で行うことができるようになります。登録は、以下のURLにアクセスし、ログイン画面の「新組織登録」をクリックして、表示される画面の指示に従って行ってください。

PrimeShip-GREEN/SRM URL: https://www.psgreensrm.com/

なお、PrimeShip-GREEN/SRMの利用方法について詳しくは以下の資料をご覧ください。
【船主各位向】インベントリ並びにPrimeShip-GREEN/SRMのご紹介
【造船所各位向】インベントリ並びにPrimeShip-GREEN/SRMのご紹介
【供給者各位向】インベントリ並びにPrimeShip-GREEN/SRMのご紹介

その他、インベントリ作成に関連する資料として以下を準備しております。ご自由にダウンロードしてお使いください。

(和文)材料宣誓書(MD) /供給者適合宣言(SDoC) MD及びSDoCの様式(和文、EXCEL:マクロ機能なし)
(英文)材料宣誓書(MD) /供給者適合宣言(SDoC) MD及びSDoCの様式(英文、EXCEL:マクロ機能なし)
(韓国語)材料宣誓書(MD) /供給者適合宣言(SDoC) MD及びSDoCの様式(韓国語、EXCEL:マクロ機能なし)
(中国語)材料宣誓書(MD) /供給者適合宣言(SDoC) MD及びSDoCの様式(中国語、EXCEL:マクロ機能なし)
化学物質管理マニュアルの見本 SDoCに要求される供給者の法令遵守及び化学物質含有情報
の入手に関する方針についての文書の見本
MD ID No. / SDoC ID No.の推奨採番方法 MD及びSDoCに供給者が入力すべきID No.の推奨採番方法
です(条約には定めがなく、供給者各位にて任意の運用が原則となります。)
有害物質インベントリ(IHM)の第1部の維持管理手順書の例(PDF)
有害物質インベントリ(IHM)の第1部の維持管理手順書の例(WORD)
シップリサイクル条約では、運航期間中のIHM第1部の維持管理に必要なシステムを構築することを求めています。ここでは、船主各位向けに、陸上にIHMの管理責任者を置くシステムを想定した場合の手順書の例を掲載しています。

インベントリへの適合鑑定書の発行

ClassNKは、条約発効前に作成されたインベントリ第1部について、所定の審査の上、適合鑑定書を発行しています。また、条約発効後は、速やかに適合鑑定書から条約証書への書き換えを行わせていただきます。条約発効後は、専門家への需要が高まることが予想されますので、早期の対応をお薦めいたします。

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船舶リサイクル施設の条約対応支援

シップリサイクル条約が発効すると、所管官庁から承認された船舶リサイクル施設でなければ締約国の船舶を解体・リサイクルすることができなくなります。船舶リサイクル施設は、所管官庁から承認を受ける際、施設における安全・環境保全を確保する方法等を記載した「船舶リサイクル施設計画(SRFP:Ship Recycling Facility Plan)」を作成しなければなりません。株式会社ClassNKコンサルティングサービスは、SRFPの作成支援を含む、船舶リサイクル施設の条約対応を支援するコンサルティングを行っています。
株式会社ClassNKコンサルティングサービス

船舶リサイクル施設への適合鑑定書の発行

ClassNKは、条約発効に先駆けて船舶リサイクル施設がSRFPを作成した際、所定の審査により、作成されたSRFPが条約の要求事項を満たしていること、また、それに従ったリサイクルが実施されていることを確認し、船舶リサイクル施設に対してシップリサイクル条約への適合鑑定書を発行しています。これまでに、以下の船舶リサイクル施設に対して適合鑑定書を発行いたしました。

■ClassNKが適合鑑定書を発行した船舶リサイクル施設(2017年8月末時点)

1 施設の名称: Jiangmen Zhongxin Shipbreaking & Steel Co., Ltd.
所在地: 中国(広東省)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 500,000LDT
解体方法: 岸壁での解体
解体可能な最大船舶: 25,000 LDT(長さ:280 m、 幅:42 m、喫水7m)
URL: http://www.greenshipbreaking.com/
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2 施設の名称: Dalian Shipbuilding Industry Marine Service Co., Ltd.
所在地: 中国(遼寧省)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 1,000,000LDT
解体方法: 上部構造物を含む主船体上部を岸壁(水深10.8m)で解体後、船底を乾ドック(長さ420m × 幅68m)において解体。
URL: http://www.dsic.cn/
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3 施設の名称: 株式会社宮地サルベージ
所在地: 日本(香川県)
解体可能な最大船舶: 10,000GT程度(船種による)
解体方法: 岸壁での解体
URL: http://www.miyajisal.co.jp/index.html
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4 施設の名称: Jiangsu Changrong Steel Co., Ltd.
所在地: 中国(江蘇省)
解体方法: 岸壁及び浮きドックでの解体(中船澄西新栄船舶有限公司(CSSC)の支援あり)
解体可能な最大船舶: 30,000 LDT
適合鑑定書を表示する*2
5 施設の名称: Jiangmen Xinhui Shuangshui Shipbreaking Iron & Steel Co., Ltd.
所在地: 中国(広東省)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 1,000,000LDT
解体方法: 岸壁での解体
解体可能な最大船舶: 57,000 LDT
URL: http://www.sbsteel.com/FILE/profile.htm
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6 施設の名称: RL Kalthia Ship Breaking Pvt. Ltd.
所在地: インド(グジャラート州)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 70,000LDT
解体方法:砂浜を利用した解体
解体可能な最大船舶: 長さ: 制限なし、幅: 60 m、喫水: 制限なし
URL: http://www.kalthiashipbreaking.com
適合鑑定書を表示する*2
7 施設の名称: Priya Blue Industries Pvt. Ltd.
所在地: インド(グジャラート州)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 120,000LDT
解体方法: 砂浜を利用した解体
解体可能な最大船舶: 長さ: 制限なし、幅: 120 m、喫水: 制限なし
URL: http://www.priyablue.com
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8 施設の名称: Shree Ram Vessel Scrap Pvt. Ltd. and Shree Ram Shipping Industries Pvt. Ltd.
所在地: インド(グジャラート州)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 90,000LDT
解体方法: 砂浜を利用した解体
解体可能な最大船舶: 長さ: 制限なし、幅: 60 m、喫水: 制限なし
その他: Shree Ram Vessel Scrap Pvt. Ltd. 及びShree Ram Shipping Industries Pvt. Ltd.は互いに隣接する二つの船舶リサイクル施設であり、両社共通の船舶リサイクル施設計画を策定し、一つの船舶リサイクル施設として運営されている。
URL: http://www.shreeramgroup.in
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9 施設の名称:Leela Ship Recycling Pvt. Ltd.
所在地: インド(グジャラート州)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 60,000LDT
解体方法: 砂浜を利用した解体
解体可能な最大船舶: 長さ: 制限なし、幅: 80 m、喫水: 制限なし
URL: http://www.leelagreenship.com/
適合鑑定書を表示する*2
10 施設の名称:R. K. INDUSTRIES (UNIT-II) LLP
所在地: インド(グジャラート州)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 150,000LDT
解体方法: 砂浜を利用した解体
解体可能な最大船舶: 長さ: 制限なし、幅: 60m×2、喫水: 制限なし
URL: http://www.shreeramgroup.in/
適合鑑定書を表示する*2
11 施設の名称:J.R.D. Industries
所在地: インド(グジャラート州)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 35,000LDT
解体方法: 砂浜を利用した解体
解体可能な最大船舶: 長さ: 制限なし、幅: 52m、喫水: 制限なし
URL: http://www.jrdindustries.net
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12 施設の名称:Y.S.Investments
所在地: インド(グジャラート州)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 100,000LDT
解体方法: 砂浜を利用した解体
解体可能な最大船舶: 長さ: 制限なし、幅: 55 m、喫水: 制限なし
URL: http://www.luckygroupindia.com/
適合鑑定書を表示する*2
13 施設の名称:ISIKSAN SHIP RECYCLING and TRADING Co. Ltd.
所在地: トルコ(イズミル県)
推定される年間最大リサイクル能力(LDT*1): 120,000LDT
解体方法: 砂浜を利用した解体
解体可能な最大船舶: 長さ: 制限なし、幅: 75 m、喫水: 12m
URL: http://www.isiksangemi.com/
適合鑑定書を表示する*2

*1: LDT(Light Displacement Tonnage):軽荷排水量(解撤船売買価格決定の際の試算の標準となる)
*2: 表示されている画像は発行されている証明書そのものではありません。しかし、証明書記載内容は発行されたものと同一です。

また、ClassNKでは、上記適合鑑定の手順等を記載した「船舶リサイクル施設の認証に関するガイドライン」を2016年11月に発行しました。本ガイドラインは、本会ホームページにてマイページのユーザー登録をすることにより、マイページの「ガイドライン」のページでご覧いただけます。
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本件に関する詳細につきましては、以下宛に電子メールにてお問合せください。
E-Mail: srpt@classnk.or.jp