国土交通省による船用品検査
日本籍船舶は日本政府が定める基準に適合している船用品(法定船用品)を搭載しなければなりません。NK船級船であっても、個々の船用品の適合性を確認する検査は国土交通省(以下、JGと称す)によって直接実施されます。日本籍船舶に搭載する為には、予備検査もJG型式承認もJGによる受検が必要となります。その国土交通省の検査制度・仕組みについて紹介します。
また、個々の法定船用品が検査に合格した場合には、NK検査の代わりにJG検査のみで外国船籍船舶であってもNK船級船に搭載することが可能です。ただし、EU/EFTA籍船のようにMED承認品が要求される場合は、それぞれの旗国国政府の指示に従う必要があります。
現在、日本においては、船舶に搭載される船用品のうち「船舶安全法」並びに「海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(以下「海防法」と略す)」にもとづく検査が必要とされる物件(以下「法定船用品」と称す)については、おもに船舶安全法第6条第3項で規定される予備検査及び第6条の4で規定される型式承認(海洋汚染防止法第19条の49で準用される場合を含む)によって基準適合性が要求されています。
1. 予備検査
船舶安全法第6条第3項、海洋汚染防止法第19条の49第1項
(対象物件 別紙1 予備検査対象一覧) 参照)
1.1 制度の概要
船舶が特定される前であっても、申請により、あらかじめ所定の要件に対する基準適合性を確認できる制度です。 検査内容は、①設計検査、②性能試験で構成されています。
1.2 効果
予備検査に合格した物件については、予備検査合格後最初に行う検査(製造検査、定期検査、中間検査、臨時検査又は臨時航行検査(以下「定期検査等」と略す))において、検査が省略される効果があります。
1.3 申請手続き
申請者は、物件の製造者、所有者、輸入事業者等であり、特定されていません。 申請先は、物件を管轄する地方運輸局であるが、海外(本邦外)にあっては、関東運輸局に申請することになります。
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申請にあたって必要な書類は、以下のとおりで、添付書類は、遅くとも性能試験開始2か月前までに2部(又は3部(本省伺いが必要な場合))提出します。
(1) 検査申請書
(2) 手数料納付書
(3) 添付書類
① 製造仕様書
② 構造を示す図面
1.4 証明書等
検査が所定の基準に適合していると認められた場合、試験成績書または申請により予備検査合格書が交付されます。
2.型式承認
船舶安全法第6条の4、海洋汚染防止法第19条の49第1項)
(対象物件 別紙2 型式承認対象一覧 参照)
2.1 制度の概要
同形式の物件を多量に生産するものを対象とした制度で、これら物件の原型(プロトタイプ)について、試験を行い、基準適合性について確認し、併せて事業者の製造能力を確認の上、国土交通大臣が承認する制度である。
検査内容は、①書類審査、及び②性能試験で構成されています。
2.2 効果
型式承認を取得した物件については、出荷にあたっては、原型と同一性の確認をする簡易な検査(これを「検定}と称す)を行うことにより、その後行う定期検査等が省略される効果があります。
2.3 申請手続き 概要以下のとおり
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申請にあたって必要な書類は、以下のとおりで、添付書類は3部提出する。
(1) 申請書
(2) 手数料納付書
(3) 添付書類
① 舶用品技術基準適合性に係る資料
(a) 申請物件の性能、形状、構造及び材料等を記載した製造仕様書
(b) 申請物件の構造、配置等を示す図面
(c) 申請物件が技術基準に適合していることを説明する書類(試験成績書等)
(d) 使用方法説明書
(e) 既に外国政府の型式承認を受けている物件であって、試験データの活用を希望する場合は、当該政府の型式承認書の写し
② 製造能力に係る資料
(a) 申請物件の製造工程(製造フローチャート)
(b) 製造実績(申請物件の製造実績がないときは、類似する物件の製造実績
(c) 申請物件を製造する主たる事業場の施設の概要及びその配置
(d) 申請物件の製造及び品質管理に係る部門の機構図
(e) 申請物件に係る品質管理基準(材料等の受入検査、製造時の中間検査、外注品・購買品の納品検査、完成品の最終確認等での社内検査基準)
2.4 型式承認書
申請物件が型式承認基準に適合していると認められた場合、国土交通大臣から型式承認書が交付されます
3.試験の省略
上記検査において実施される①設計検査と②試験のうち、試験については製品毎に検査官が立会うことが原則となっています。ただし、以下に掲げる場合にあっては、当該試験成績書をもって試験の一部または全部が省略されることがあります。
3.1 予備検査及び型式承認試験の一部又は全部が省略される試験成績書
国際海事機関(IMO)が定める国際的な技術基準(及びこれを取り入れた我が国法令に基づく技術基準)で規定される試験方法及び判定基準に従うものであって、次に掲げるものとなります。
(1) 国・地方自治体(独立行政法人を含む)の試験機関、外国政府の試験機関が発行する試験成績書
(2) 当該試験につきISO/IEC 17025:2005(JIS Q 17025:2005)「試験所及び校正機関の能力に関する一般要求事項」に基づく試験所認定を取得し、かつ、適切な試験実施の実績を有する国内の財団法人・社団法人・民間の試験機関が発行する試験成績書
(3) 当該試験につきISO/IEC 17025:2005 に基づく試験所認定を取得し、かつ、適切な試験実施の実績を有する外国の財団法人・社団法人・民間の試験機関が発行する試験成績書(既に外国政府の型式承認を受けている物件の試験成績書であること。 ただし、防火用材料については、デンマーク、エストニア、ギリシャ、オランダ、ノルウェー、スペイン又は英国政府の型式承認を受けている物件であり、かつ、これらの国の政府に認定された試験機関の試験成績書に限る。)
(4) 登録船級協会(一般財団法人 日本海事協会はその一つです)の検査員が試験立会し、その結果に署名している試験成績書
お問い合せ先
日本籍船舶の船用品検査、審査及び証明サービスに関するご質問は、次の部署にてお受け致します。
一般財団法人 日本海事協会 材料艤装部
Tel: +81-3-5226-2020Fax: +81-3-5226-2057
e-mail: eqd@classnk.or.jp