船舶状態評価鑑定(CAP)

船舶が適切に運航され、船体構造及び設備の現状を明確に把握して検査及び保守が規則的且つ適切に行われていれば、船舶の状態を良好なレベルで維持することができます。

船舶は、国際条約、船級協会の制定した技術規則等に従い、良好な状態を維持していることを確認するために定期的に検査を受けます。しかしながら、通常の定期的検査により詳細な船舶の状態の全てが評価されるものではありません。船舶の状態について詳細な評価を行うことは、船舶の運航期間を通して船主が船舶保守を計画するうえでとても大切なことです。

NKの船舶状態評価鑑定(CAP)は、船体の強度評価、疲労評価また船体、機関、その他の甲板機器、荷役設備、揚貨設備の現場での詳細な検査の結果に基づいて、船主に船舶の実際の状態評価を提供するための特別な検査プログラムです。 CAPを受験することにより、船主は、特に船の現状を通常の船級による要件と比較することで、船舶の実際の状態をより正確に把握していることに確信を持つことが出来ます。

CAPは油タンカー、ケミカルタンカー及びばら積み貨物船を対象にしています。しかし、それら以外の種類の船舶についてもCAPを準用し、適用することが可能です。

CAPは二つのパートから構成されます。CAP-MACHINERY / CARGO SYSTEMにつきましては、CAP-HULLの追加としてご要望によりお申込みいただくことができます。

(1)CAP-HULL (Condition Assessment for Hull Structures)
(2)CAP-MACHINERY/CARGO SYSTEM (Condition Assessment for Machinery and Cargo Systems)

状態評価の結果はレーティングにより明確に判断されます。
それぞれのレーティングの定義は次のとおりです。

(1)CAP-HULL RATING

  • (a) Rating Level 1 : “Very Good Condition”
    検査及び計測された項目に使用開始当時の状態もしくは現在適用される規則が要求する部材寸法と比較して表面的な減少のみが認められる。保守及び修理を必要としない。
  • (b) Rating Level 2 : “Good Condition”
    検査及び計測された項目に修正もしくは修理を必要としないごくわずかな欠陥が認められ、且つ/または、全ての板厚計測値が船級の定めた下限値を大幅に上回る。
  • (c) Rating Level 3 : “Satisfactory Condition”
    検査及び計測された項目に早急な修正もしくは修理を必要としない欠陥が認められるか、板厚が全体的に船級の更新基準を満たすもののかなりの腐食が認められる。
  • (d) Rating Level 4 : “Unsatisfactory Condition”
    検査及び計測された項目に船級維持に影響を与える1ヶ所もしくは複数の欠陥が認められるか、板厚がいくつかの範囲で船級の更新基準を下回ることが認められる。

(2)CAP-MACHINERY/CARGO SYSTEM RATING

  • (a) Rating Grade 1 : “Very Good Condition”
    検査または効力試験を実施した項目及びシステムには、性能に影響を与える欠陥がみとめられない。整備記録と保守の実施は良好と考えられる。保守及び修理を必要としない。
  • (b) Rating Grade 2 : “Good Condition”
    検査または効力試験を実施した項目及びシステムには、性能に影響を与えないいくつかの重大でない欠陥が認められる。整備記録と保守の実施は適当と考えられる。早急な保守及び修理を必要としない。
  • (c) Rating Grade 3 : “Satisfactory Condition”
    検査または効力試験を実施した項目及びシステムには、性能に影響を与えない欠陥が認められる。最小限の整備記録と保守の実施が行われている。いくつかの保守及び修理を必要とする。
  • (d) Rating Grade 4 : “Unsatisfactory Condition”
    検査または効力試験を実施した項目及びシステムには、性能に重大な影響を与える欠陥が認められる。整備記録と保守の実施は不適当と考えられる。

CAP終了後、船舶の包括的なレーティング(Overall Rating for CAP-HULL 且つ/または、CAP-MACHINERY / CARGO SYSTEM)を示したCAP証書が発行されます。

次のような詳細な評価結果と関連記録がCAP証書と共に提出されます。

(1)CAP-HULL

  • (a)各構造毎の評価及び船体強度検討の評価
  • (b)検査報告書
  • (c)疲労強度検討書
  • (d)防食評価
  • (e)写真による報告書
  • (f)板厚計測記録

(2)CAP-MACHINERY/CARGO SYSTEM

  • (a)各項目についてのCAP-MACHINERY/CARGO SYSTEM 評価
  • (b)検査報告書
  • (c)写真による報告書