技術セミナー第2部

1.「環境」及び条約規制に関する業界動向並びに本会の活動及びサービス

最新の国際条約等の動向

講演資料

IMO第76回海洋環境保護委員会(MEPC 76,本年6月)及びIMO第104回海上安全委員会(MSC 104,本年10月)における審議結果の他,IMO小委員会の審議結果等を交え,最新の動向を紹介いたします。

ゼロエミッション・サポート・サービス
~EEXI規制及びCII格付け制度~

講演資料

MEPC 72(2018年4月)において,国際海運からの「GHG排出削減目標」を盛り込んだ,IMOのGHG削減初期戦略が採択されました。IMOにおいて検討が行われてきた結果,MEPC 76(2021年6月)において,輸送効率を2008年比で最低40%改善するという,「2030年目標」を達成するための短期対策として,技術アプローチである「EEXI規制」及び運航アプローチである「CII格付け (燃費実績の格付け制度)」が,MARPOL条約附属書VIの改正として採択されました。これら2つの新たな規制に関して,その概要と対応について紹介いたします。

カーボンニュートラルに向けた洋上風力開発の動向
~洋上風力の安全と安定操業の確保に向けた取り組み~

講演資料

SDGs目標達成のためのESG投資の観点や,2020年10月に宣言された「2050年カーボンニュートラル」の実現に向けて,日本においても洋上風力発電の取り組みが本格化しております。こうした一連の状況をご説明するとともに,洋上風力の安全と安定操業の確保に向けた本会の取り組みを紹介いたします。

自動運航船に関する最新動向と本会の取り組み

講演資料

海事業界においても自動運航技術に対する注目が高まっており,複数の実証事業がスタートしています。技術開発も着実に進んでおり,近い将来の社会実装の現実味も増してきております。本講演では,最新の国内外の業界動向についてご紹介するとともに,本会の取り組みについても簡単に紹介いたします。

水中騒音規制に関する最新動向と本会の取り組み

講演資料

水中騒音については,IMOにて2014年に「商船からの水中騒音低減のためのガイドライン(MEPC.1/circ.833)が承認され,水中騒音の計測方法及び設計時/運航時に検討すべき事項等が記載されているものの,未だ強制化には至っていません。一方,海洋環境保全及び省エネルギー等の観点から,水中騒音低減に対して業界の関心が寄せられつつあることから,今般,IMOガイドラインの概要と本会の今後の取り組み等について紹介いたします。

SOx規制強化後燃料トラブルの調査と対応事例

講演資料

燃料トラブルの調査・情報発信サービスの紹介と,SOx規制強化後のトラブル解消に向けた調査結果及びポスター“VLSFO使用開始後のトラブル”について紹介いたします。

2.「安全設計/安全運航」に係る業界動向と本会の取り組み

2.1 ライフサイクル保守管理を支援する取り組み

船体構造モニタリングの最新動向

講演資料

船体構造に係る情報をモニタリング等により収集し,定量的な解析・分析を行うことで,船舶の安全性向上に資する有益な情報を提供する船体構造モニタリングシステムの活用が進んでいます。本会は,船舶の安全性の向上に資する機能を実現するための技術要件を包括的にとりまとめ,2021年6月に“船体構造モニタリングに関するガイドライン”を発行しました。本講演では,革新技術を備える船舶を認証する規定を示した本ガイドラインの概要と船体構造モニタリングに関する最新動向を紹介いたします。

舶用機器の状態監視・状態評価技術

講演資料

近年,センシング技術を用いた舶用機器の状態監視・評価の適用について様々な検討がなされています。これは,機器の損傷や船舶の事故を未然に防ぐことが期待できるものの,搭載する際にリスクの検討や技術の妥当性を検証する必要があります。本研究では,実船での主機ディーゼル機関の主軸受LO出口温度監視による主軸受の状態監視を目的として,模擬試験機を用いて,その監視技術の有効性について検証します。

2.2 船級業務の高度化に向けた取り組み ~AI活用技術~

講演資料

近年の計算機の発展やデータの収集が容易になったことをうけ,海事業界でもAI活用の検討が進んでおり,NKにおいても,船級業務の高度化,効率化を目的とした検討を進めております。これまで,就航中に船体が受けた応力推定や,舶用主機の異常燃焼検知等に取り組み,AI活用の知見を蓄えてきました。また,現在は損傷情報分析の高度化や,将来的なAI搭載機器の評価に向けた性能評価手法の検討に取り組んでおります。本講演では,これらの活動について紹介いたします。

2.3合理的/先進的な規則開発の取り組み

設計波浪荷重に係る実海域での操船影響

講演資料

船級規則における設計波浪荷重は,船体構造の諸強度評価の根幹をなす重要な要件の一つです。近年では,AISデータ(自動船舶識別装置による航行情報)や波浪追算データを活用し,より現実的な波浪荷重を推定する取組みが進められています。本講演では,AISデータと波浪追算とを組み合わせた実遭遇海象の推定や設計波浪荷重に対する操船影響の定量的評価に係る取組みを紹介いたします。

直接荷重解析に基づく強度評価
(波浪荷重ベンチマーク水槽試験)

講演資料

近年,大型化・多様化する船舶への対応として,個船の特徴をより反映可能な荷重構造一貫解析の適用が増えつつあります.当該解析では荷重解析で推定した荷重を構造解析に適用しますが,荷重の精度検証に必要な水槽試験の公開データは限られています。本研究では,コンテナ船およびVLCCの分割模型を用いて断面力を計測し,2種類の圧力計で多点の変動水圧を計測することで,船体構造強度評価用の荷重に焦点を当てたベンチマークデータの構築に取り組みました。これらの概要を紹介いたします。

3. 業界動向を支える技術トピックス及び本会の活動

デジタルトランスフォーメーションの取り組み

講演資料

ClassNKは2020年に発表したClassNK Digital Grand Design2030に基づきデジタライゼーションやDXに向けた取り組みを社内外で進めています。機関状態診断などデジタルがもたらす新しい安全の在り方を如何に取り入れていくか、また一方で業務とそのシステムをどう変えて行くかについて、最新の状況を整理するとともに、これまでの取り組みで生じた課題などをご紹介いたします。

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