バラスト水管理条約
バラスト水管理条約について
IMOによると、船舶によって年間30億トンから50億トンのバラスト水が国際移動しています。船舶のバラスト水による海洋環境に影響を及ぼす水生生物の越境移動を防止するために、IMOはバラスト水及び沈殿物の管制及び管理のための国際条約(以下、『バラスト水管理条約』という)を2004年に採択しました。このバラスト水管理条約は2017年9月8日に発効いたします。
なお、バラスト水管理条約の条約批准国については、IMOのホームページよりIMO / English / About IMO / Conventions / Status of Conventionsにある "Recent ratifications"にアクセスして頂きますと国別のデータシートがダウンロードできます。
IMOホームページ Status of Conventions
この条約において規定される次の基準に従い、船舶のバラスト水を管理することになります。船舶は、主として承認されたバラスト水処理装置によるバラスト水に含まれる有害な水生生物や病原体を殺滅する手法が求められます。
(1) バラスト水交換基準(D-1規則)
(2) バラスト水排水基準(D-2規則)
国際バラスト水管理証書
就航船を含む総トン数400トン以上の条約適用船舶(就航船を含む。ただし、浮いているプラットフォーム、FSUs及びFPSOsを除く)には、同条約が発効する2017年9月8日前までに国際バラスト水管理証書を所持する必要があります。
なお、バラスト水処理装置を使用したバラスト水管理が適用される船舶(D-2 規則の適用船舶)だけでなく、バラスト水交換のみを適用する船舶であっても、少なくとも次の書類を同条約発効日までに本船に備える必要があります。条約発効直前は検査が混み合うことが予想されますので、証書を所持していない船舶につきましては、前広に初回検査を受検いただきますようお願い致します。
(1) 国際バラスト水管理証書
(2) 承認されたバラスト水管理計画書
(3) バラスト水管理記録簿
ClassNKは、船上検査によって必要な図書及び設備を確認する為に、初回検査を実施して代行権限に基づき条約証書を発行致します。初回検査に先立ち、船上図書や設備図面の事前承認が必要となりますので、関連図書を弊会機関部に提出して下さい。関連する提出書類の詳細については、ClassNKテクニカルインフォーメーションTEC-1086を参照して下さい。
ClassNK テクニカルインフォメーション TEC-1086
同一水域内のみを運航することを条件に条約の適用除外が認められている船舶が、入渠などの理由で一時的に同水域外を運航する場合、承認されたバラスト水管理計画書に従ったバラスト水交換を行うことを条件に、一航海のみの航行許可を取得する必要があります。 詳細については次のサーキュラーを参照してください。
バラスト水処理装置の搭載期日
バラスト水処理装置の搭載工事に必要となる修繕ドックの容量不足が懸念されたことから、2017年7月に開催されたIMOの第71回海洋環境保護委員会(MEPC71)において、バラスト水管理条約に規定されるバラスト水排出基準の適用時期の見直しが行われ、バラスト水管理条約B-3規則の改正案が承認されました。本改正案は、2018年4月に開催される次回MEPC72において採択される予定です。この適用時期については、ClassNKテクニカルインフォーメーションTEC-1116を参照して下さい。
ClassNK テクニカルインフォメーション TEC-1116
G8、G9の承認を取得したバラスト水処理装置については次の資料をご参照下さい。
米国海域内を航行する船舶のバラスト水処理装置は米国沿岸警備隊 (United States Coast Guard) による承認を取得することが求められています。USCGの型式承認を取得したバラスト水処理装置については、下記のUSCGのホームページにアクセスして頂きますと、最新の情報をご覧になることができます。
USCG(United States Coast Guard) のホームページ
日本籍船舶には国土交通省の型式指定を取得したバラスト処理装置を搭載する必要があります。承認されたバラスト水処理装置については、下記の国土交通省のホームページをご参照ください。ホーム>政策・仕事>海事>バラスト水管理システムの承認についてにあるバラスト水処理装置承認一覧表にアクセスして頂きますと、最新の情報をご覧になることができます。
試運転試験におけるサンプリング分析の実施について
バラスト水処理装置搭載の際には、機器の適切な作動を確認する為の試運転試験を行う必要があります。MEPC 74では、試運転試験時に簡易な手法(Indicative analysis)によるバラスト水の分析を行うことを義務付けるためのバラスト水管理条約の改正案が承認され、MEPC 75では同改正が採択されました。この条約改正に伴い、発効日である2022年6月1日以降に船舶に搭載されるバラスト水処理装置は、試運転時にバラスト水の分析を行う必要があります。また、バラスト水処理装置搭載時の試運転に関するガイダンスの改正(BWM.2/Circ.70/rev.1)も併せて承認されました。主に次の項目が改正点になります。
- 試運転では、生物濃度に関わらず造船所周辺の水を使用する。
- バラスト水の分析は船上で実施可能な簡易分析手法で実施し、D-2基準に規定されるLサイズ(50um以上)とSサイズ(10um以上50um未満)の生物に対する分析を行う。病原性バクテリアに対する分析は不要。
当該条約の改正に先立ち、以下の旗国より早期実施が要求されており、該当する主管庁指示に従ってサンプリング分析を実施する必要があります。
旗国 | 旗国特別要件に関する主管庁指示 | 更新日 |
---|---|---|
Australia | SHIPPING CIRCULAR NO. 01 OF 2019 | 18/Oct/2019 |
Cyprus | Circular No 20/2019 | 02/Dec/2019 |
Singapore | SHIPPING CIRCULAR NO. 09 OF 2019 | 01/Jul/2019 |
Tuvalu | MARINE CIRCULAR MC-3/2016/1 | Feb/2020 |
Greece |
Application of IMO Circular BWM2Circ70 (original) Application of IMO Circular BWM2Circ70 (translated) |
21/May/2020 |
また、以下の旗国よりサンプリング分析の早期実施が勧告されております。
旗国 | 旗国特別要件に関する主管庁指示 | 更新日 |
---|---|---|
Bahamas | INFORMATION BULLETIN No. 165 | 04/Nov/2019 |
Panama | MERCHANT MARINE CIRCULAR MMC-345 | July/2020 |
Liberia | Implementation, Survey and Certification under the International Convention for the Control and Management of Ship’s Ballast Water and Sediments, 2004 (BWM Convention) | August/2020 |
バラスト水管理条約に関するIMO Documents
バラスト水管理条約に関する一般的なご質問は、以下の部署にお問合せ下さい。
一般財団法人 日本海事協会(ClassNK) | |
本部 管理センター別館 機関部 | |
住所: | 東京都千代田区紀尾井町 3-3(郵便番号 102-0094) |
Tel: | 03-5226-2023 |
Fax: | 03-5226-2024 |
E-mail: | mcd@classnk.or.jp |
国土交通省におけるバラスト水管理システムの承認関連
国内におけるバラスト水管理システムに対する承認業務につきましては、国土交通省海事局検査測度課が実施しております。なお、決議MEPC.279(70)により採択された改正IMOガイドライン(G8)に係る承認業務についても、3月3日付で公開されています。 詳しくは、ホーム > 政策・仕事 > 海事 > バラスト水管理システムに係る承認について にある『バラスト水処理装置のための業務要領』を参照ください。
バラスト水管理システムの承認の際の生物分析方法等マニュアル
バラスト水管理システムの承認の際の生物分析方法等マニュアル(第2回改訂版) を発行しました。
(旧版はこちら
)
活性物質を利用するバラスト水管理システムに係るIMOへの申請について
申請窓口及び問合わせ等の案内は、国土交通省・環境省・事務連絡(2005年11月25日付)を参照ください。
申請料金等は、IMOから発行されている BWM2/Circ.24を参照ください。本サーキュラーは、GESAMP-BWWGの会議毎に発行されます。
活性物質の承認手順については、IMO決議 MEPC.169(57) 活性物質を利用するバラスト水管理システム承認の手順(G9)及びその仮和訳を参照ください。
IMO決議MEPC126(53)活性物質を利用するバラスト水管理システム承認の手順(G9)の 国内解説書を作成しております。本解説書は作成当時(2005年)の暫定版ですので、最新のテクニカルガイダンス(Methodology)には対応していないことにご注意ください。
G9申請のためのテクニカルガイダンス(Methodology) につきましては、MEPC68(2015年5月開催)で改訂版(BWM.2/Circ.13/Rev.3)が承認されました (仮和訳は下記を参照)。改訂版Rev.3については、MEPC71以降のIMOへの基本承認申請から適用になります。また、腐食試験に関する勧告(MEPC59/2/16 5.1仮和訳)を参照ください。なお、これらのガイダンスは更新された場合、それに従うことになりますのでご注意ください。
BWM2/Circ.24
MEPC.169(57) (G9)
MEPC.169(57)仮和訳 (G9)
国内解説書 (G9承認の手順)
MEPC68(2015年5月開催)で承認された改訂版 BWM.2/Circ.13/Rev.3
BWM.2/Circ.13/Rev.3の仮和訳
腐食試験に関する勧告(MEPC59/2/16 5.1仮和訳)
バラスト水管理システムに関するご質問は、以下の部署にお問合せ下さい。
一般財団法人 日本海事協会(ClassNK) | |
本部 管理センター別館 材料艤装部 | |
住所: | 東京都千代田区紀尾井町 3-3(郵便番号 102-0094) |
Tel: | 03-5226-2020 |
Fax: | 03-5226-2057 |
E-mail: | eqd@classnk.or.jp |
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